〈じょうえつレポート〉昨冬の豪雪経験を防災に 上越市防災士会女性部 上越市民にアンケート

 上越地域は昨冬、記録的な大雪に見舞われた。車での移動が制約された市民は、通勤や食料、燃料の買い出しに不便を強いられ、また停電などで不安な日々を過ごした。この経験を防災に生かしたいと、上越市防災士会女性部(保坂裕子部長)は市民を対象にアンケート調査を実施。「大雪は災害」と捉え、物質的な備えの他に、互いを思いやる「共助」の心掛けがより重要になってくるとの認識を新たにしている。(報道部・山田里英記者)

「大雪は災害」と認識 物質的に備え共助の心掛け

 女性部は平成29年、上越市防災士会の女性メンバーによって設立。同30年から年1回、防災マイバッグの中身について考えたり、ポリ袋を使った非常食の調理実習を行ったりと、市民向けの防災講座を開いている。

 新型コロナ禍で活動が制限された令和2、3年度は「自宅にある物で代用する防災便利グッズ」をテーマに据え学習。紙・新聞紙、ペットボトル、ポリ袋、風呂敷といった身近な物を使った防災グッズの作り方を冊子にまとめた。

 女性部は冊子の編集作業と並行し、昨年3月、豪雪が生活に与えた影響と、今後備えるべき対策についてアンケートを実施。メンバー12人が手分けし、20~70代の市民122人から回答を得た。

 年齢や、海辺や山間部などに住む、場所の異なるメンバーが集めた回答は多岐にわたった。回答は「車」「食料」「家について」「その他生活全般」と4カテゴリーに分けて集計し、冬場の備えや対策、心構えなどについてまとめた。

 女性部の保坂部長(68)は昨冬の経験を通し、物の備えの一方で、近隣住民と普段から交流し、いざというときは助け合うことの必要性をあらためて実感したという。1人暮らしの人の買い物を手伝う、声を掛け合って除雪作業をするなどの「共助」を心掛けることが、地域の防災力向上につながり、災害時に生きると話す。

 今冬も、日本に大雪をもたらすとされる「ラニーニャ現象」が継続中で、終息は春と見込まれている。引き続き大雪や厳しい寒さに注意が必要で、気の抜けない日々が続く。

 保坂部長は「雪国に住んでいるからには、雪と上手に付き合っていくための、それなりの備えや心構えをしなければならない。そのためにも日頃から家族や仲間と相談し、困ったときに助け合える周囲との関係づくりが必要だ」と語った。

アンケート結果を振り返り、あらためて豪雪への備えと心構えを話す保坂部長

「令和3年豪雪で考えた 冬の備えや雪への対策」アンケートの回答

【車について】
・雪道に強い車の購入を検討
・水や食料、保存できる物を1日分は入れておく
・冬季の駐車場確保
・雪道の走り方、スタック時の脱出方法を習得

【食料について】
・水や食べ物の備えを十分にする。ペットフードも忘れずに
・日持ちのする根菜や、冷凍食品を多めに購入する
・幼児用にミルクやおむつを常備しておく

【家について】
・庭木等のせん定と丈夫な冬囲い
・窓に囲い板を設置する
・屋根雪の雪庇(せっぴ)落としの道具の準備
・雪下ろし用のはしごの購入
・風呂釜の排気口、エアコン室外機周辺の除雪

【その他生活全般】
・天気予報等の情報をキャッチしたら早めの対応
・近所の人と普段から交流を持つ。日頃からの共助を心掛ける
・飲み物、食べ物を入れた防災リュックを準備
・停電時を考えて、電力を必要としない石油ストーブ、カセットコンロを用意しておく。トイレ対策も必要
・除雪作業で体力のなさを痛感。日々の運動、体力づくりが必要
・除雪機の操作を覚える。除雪機の技能研修があると良い。燃料の予備を確保する
・子どもたちが室内で安全に過ごせるような工夫をする(例:ボードゲームなどを用意しておく)
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