新型コロナ、スーパースプレッダーの特徴を東京医科歯科大学が調査

東京医科歯科大学大学院の藤原武男教授らの研究グループは、東京医科歯科大学病院への入院患者を対象とした研究で、糖尿病、関節リウマチ、脳梗塞の既往が新型コロナウイルス感染症のスーパースプレッダーのリスクとなることを見出した。

スーパースプレッダーとは、新型コロナウイルス感染症のPCR検査でウイルスコピー数が高く、周囲への感染力と死亡率が高い患者のこと。そのような患者を早期に同定することは、治療および周囲への二次感染の拡大防止の観点から重要だが、これまでスーパースプレッダーの決定要因は不明だった。

研究グループは2020年3月から2021年6月までに、中等症から重症の新型コロナウイルス感染症で東京医科歯科大学病院に入院し、1回以上RT-PCR検査を行った患者379名を対象に、スーパースプレッダーの特定要因を検討した。

電子カルテ情報から、既往症(高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・関節リウマチ・癌・慢性腎不全・脳梗塞・心疾患・呼吸器疾患・アレルギー)を調査・分析した。その結果、上記の既往を3つ以上重複して有する患者では、既往のない患者よりウイルスコピー数が87.1倍高かった。

また、糖尿病患者は17.8倍、関節リウマチ患者は1,659.6倍、脳梗塞患者は234.4倍、ウイルスコピー数が高かった。さらに、入院時に血小板とCRP(C-反応性タンパク)が低い患者はウイルスコピー数が高く、複数回RT-PCR検査を行った患者の90%以上が初回または2回目の検査で最大のウイルスコピー数に達していた。

今回の研究結果により、スーパースプレッダーであるリスクが高い患者に対して、隔離や医療従事者への警告など特別な感染管理措置を、入院の初期段階で講じる必要があると指摘している。

論文情報:

【Journal of Infection】Characteristics of SARS-CoV-2 super-spreaders in Japan00656-3/fulltext)

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