「またか」「キャンセル40件」まん延防止延長、沖縄の事業者に不安と焦り

 沖縄県内の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県は24日、「まん延防止等重点措置」を3週間程度延長するよう政府に要請した。既に観光業や農水産、サービス業などさまざまな業種で売り上げ減少などの影響が出ている。「またか」。制限措置のさらなる延長に、県内の各種事業者らは不安と焦りを募らせている。

 「今月に入り既に40件の予約キャンセルが出た。予約自体を控える通院者も多く、経営への打撃は計り知れない」。かかず鍼灸整骨院=那覇市寄宮=の嘉数直也院長はため息をつく。県内でも年明けから感染力の高い新変異株「オミクロン株」への置き換わりが進み、「濃厚接触者になった」「感染リスクが怖い」と、施術日直前の予約取り消しが急増した。

 同院では2020~21年の売り上げが、19年比でそれぞれ半減した。嘉数院長は「自身も通院者も、今まで以上に感染の危機が身近に迫っている」とし、「重点措置の延長で、また客足は遠のくだろう。仕方ないが、今は一日も早い沈静化を願うしかない」と述べた。

 ブランド牛「山城牛」を肥育する山城畜産(うるま市、山城善市代表)は、引き合いの鈍りを懸念する。コロナ禍で外国人観光客がゼロとなり、飲食店需要も大幅に落ち込んで生産現場は大打撃を受けた。まん延防止等重点措置が延長されれば、消費低迷はより一層深刻さを増すことになる。

 山城代表は「売り先がなければ、うちから肉を買い取ってくれる契約業者にも負担がかかる」とおもんぱかる。ブランド牛をはじめ比較的高価な県産品は観光需要に頼っているものが多いため、今後の在り方を見直す好機にしたいと提案する。その上で「コロナの収束を待つだけでは状況は何も変わらない。まずは県民に食べてもらってよさを実感してもらい、県産品の持続的な消費拡大を目指したい」と、地産地消を呼び掛けた。(当銘千絵)

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