【寄稿】今年もコロナ禍スタートだが(WEB版)/POKKA吉田

令和4年になって初めて本紙連載を書くのが本稿だ。ちょうど沖縄などにまん延防止等重点措置が出たタイミングである。米軍クラスターと言ってもいい状況下での各知事特に玉城デニー沖縄県知事には同情するが、オミクロン株が重症化しづらいということが少しずつ明らかになってきているのも事実。まだ断定できる段階ではないかもしれないが、WHOまでデルタ株との比較で重症化しにくいことは表明している。でもまあ、感染力がものすごいようだから、引き続きすべての店舗について、あるいは社内・団体等について、今まで通りの感染対策の実施が求められている。

コロナ禍というのは暗い話題には違いないが、その分岸田政権ができる政権なのかどうか、試金石とはなってくる。岸田首相は既に3回目のワクチンの前倒し、全員入院の見直し、ファイザー製経口薬などの促進、など、経済を止めないように対策を実施する方向性を打ち出している。これが菅政権時代のように右往左往して、結局3回目のワクチン接種が終わって収まるということになれば評価としては菅政権と同じ。菅政権下では非主流的な扱いを受けていた岸田さんだけに菅政権でできなかったことを実現して株を上げたいと思っているはずだ。できるかどうかはこれからの数か月でわかると思う。

さて、明るい話といえば、年末年始、業界全体がある種驚いたのはエヴァの絶好調だろう。斬新な新筐体、左右どちらの手でも遊技できるハンドル、そのハンドルの軽さ、そして多くのホールが驚いた60万円を超える販売価格。いろんな意味でエヴァは導入前から注目されていた機種である。

エヴァの導入前夜、市場で最も高い評価なのはもちろんガンダムユニコーン。昨年6月の牙狼の大成功を夏から一気に追い越したかのようなユニコーンの大成功を思えば、エヴァが年末年始の市場の主役になるとは業界関係者の中でほとんどの人が想定していなかったことだろう。

私はいろんなところで言ってきたが、エヴァシリーズのぱちんこがとにかく大好きである。良かれ悪かれ延々とエヴァばかり遊技することが多い。前作の決戦真紅は市場評価的にはイマイチだったし演出が少ないという指摘が多かったがそれでも前作をものすごく打ちまくってきた。だから今作ももちろん今の私の遊技時間の中心になっている。
毎年打ち納め、打ち初めというものを個人的に意識してきた。その年一番世話になった機種を選んだり、最も注目していた機種を選んだりそのときどきである。ただし昨年末は大晦日の日中まで仕事をしていたため意識しての打ち納めをすることはなく、1月4日に打ち初めとした。

もちろんエヴァを打ちたくて自宅最寄店を覗く。13時頃に覗いたが満台。しばらくしても空く気配がないので久しぶりに遊技目的をもって電車移動。一つ目の駅で3店舗覗く。いずれも満台であり、うち一店舗は島の後ろに空台待ちの人が3人が控えていた。これはたまらないということで再び電車移動。それを繰り返してようやく空台に座ることができたのは自宅を出てから1時間を超えていた。エヴァが打ちたくて最寄店舗から次々に移動していって、という周遊をしたのは初めてではないけれど、たぶん使徒、再び以来のこと。SIS等や中古相場等で数字上も明らかではあるが、年末年始、ホール営業の主役は間違いなくエヴァである。

不思議なもので、正直私にはこの機種のどこが多くの客の支持を集めているのかはさっぱりわからないのだ。私の場合はエヴァシリーズのぱちんこについて、面白いか面白くないかの判断以前に打ちづけるという特異?な習慣があるので、打ち込みまくってから自分なりの評価をする。しかし、「ああ、この機種はこういうところが面白いと思われるのだろう」「面白くないと思われるのだろう」という予想はする。前作はたしかに演出出現率がとても低くなっておりそのまた前作の演出を踏襲(というか使いまわし?)している感じが強くてこういうところは支持されないだろう、みたいなことは初打ちで感じることができた。しかし今作、どこがどうとかいう点をうまく感じることができずに今もいる。

私の評価では過去のエヴァシリーズでの大成功例はループタイプにしかなく、STタイプにはなかった。この点、今の時代はSTタイプに寄っているからか今作の性能は時代に合っていそうだ。また、筐体の斬新さというか「楽さ」はたしかに魅力の一つ。店側が椅子などでわざわざ用意しないとなかった手を置いておける部分が筐体にあるため、右手でも左手でもものすごく楽である。しかし、STタイプはたくさんある。「楽さ」はとても重要だが、これが最大の理由なのだろうか。
演出面は正直言うとシンプルモードが耐えられない。私はモードを切り替えることができるエヴァシリーズはすべてシンプルモードで打つのだが、今作は無理と感じるほどに単調というか映像も寂しい。通常のモードでは演出はたくさん出てくるが、期待感の強い演出の出現率は相変わらず低い。当たるまでは何も起こらないというようなイメージで理解している。

このような演出フローが受け入れられているのだろうか。一応はミッションモードだったり過去の演出フローを踏襲している部分もある。しかしエヴァの世界観はかなり薄まった。以前のエヴァシリーズは極端に言えば説教的にエヴァの世界観を押し付けてくるようなものが多く、それがエヴァ好きに強く支持されているものだとずっと思っていた。私の場合はエヴァシリーズのぱちんこ(たまにパチスロ)「だけ」が好きなのであってテレビアニメ・映画には全く関心がなく一度も観たことがないしこれからも観ないのでそこは実はどちらでもいいのだが、エヴァシリーズ好きは「エヴァばかり打つ」ことが私のように多いので、そういうところが支持されているのだと思っていたわけだ。でも今作を考えるとそうでもないような気もする。

「楽さ」という点、「世界観がライト」という点、「当たるまでは暇だが当たってから勝負」という点、それらもろもろのバランスの上で機種の評価は決まるとは思っているが、どこがポイントになったのか。仮に「楽さ」がとても奏功したということであれば、今夏登場予定のスマート遊技機はそれだけでも凄いアドバンテージを持って登場することになる。

ひとまず年末年始、市場は結論を出した。これは動かない事実である。この理由の分析は、ぱちんこメーカーにとっては大ヒット機開発企画のための手段、ホールにとっては今後の機種選定の判断基準に直結する。誰もが「市場No.1」となることを予想しなかったエヴァが大成功している事実は重い。先日、知り合いの業者がエヴァを中古で仕入れたときには既に100万円を大きく超えていたという。当たり前だが需要もとても強い。

本紙が発行される頃には慶次や牙狼も登場していることだろう。4月には韋駄天BLACKもある。昨年の覇者ユニコーン、牙狼どうしの市場争いも含めてMLTS319付近の最も出玉性能が高いタイプの覇権は最終的にどこに落ち着くだろうか。またその機種の大成功の理由はどこにあるのだろうか。

そういうことを考えるとコロナ禍のことなど頭の中から消えていく。そういう一年に今年はしていきたいと思います。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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