日本でも三浦春馬主演でリメイクされた作品も!イ・ジュンギの役者人生第2期

韓国ドラマ「悪の花」で、複雑な内面をもつ難役を真に迫る演技で魅せた俳優イ・ジュンギ。そこで、彼がこれまで演じてきた主なキャラクターを分析。俳優人生の集大成ともいえる「悪の花」のペク・ヒソン役に、いかにしてたどり着いたのか。今回は除隊後の30代、役者人生第2期を迎えた作品を中心に振り返ります。


時代劇×アクションを自らの武器に、さらなる高みへ

「アラン使道伝」 2012年

イ・ジュンギ除隊復帰作にして、自らの“武器”である時代劇×アクションで真っ向勝負。奔放な女人霊に翻弄されるツンデレ役人という役どころで、その快活かつ爽快な人間的魅力とアクション能力の高さが存分に活かされた。

他人に無関心で冷淡に見えるが、実は誰よりも母の愛を欲し、ピュアな心を持つウノ。普段はクールにもかかわらず、アランの前では振り回されたり、他の男と接近する彼女に悶々としたり、嫉妬心を見せたり、はたまた彼女の着替えにドギマギしたり、恋愛経験のない少年のような初々しさが可笑し可愛い!

貴族の子息らしいパステルカラーを基調とした韓服姿も麗しく、幽霊とのやり取りではパントマイムを取り入れて面白く見せたり、妖魔との戦いでは扇子など小物を取り入れ、舞踊のようなアクションを披露したりと、時代劇×アクションの魅せ方を知り尽くしたジュンギならではの演出も細部に光る。ファンタジー色の強い本作の世界観と見事な融和を見せている。

ちなみに、馬を走らせながら、アランを抱きかかえる場面もノースタント!

過酷な運命と試練に対峙し、家族を守る男へと変化

「TWO WEEKS」 2013年

殺人の濡れ衣を着せられた男が、白血病に冒された幼い我が娘の命を助けるため、2週間というタイムリミットのなかで繰り広げる逃走劇。日本でも三浦春馬主演でリメイクされ、話題に。脚本を手掛けたのは、「華麗なる遺産」「黄金の私の人生」などヒット作を数多く生み出してきたソ・ヒョンギョン。初の父親役に戸惑うジュンギに、「あなたの代表作にする」と、ソ脚本家自ら出演を説得した作品でもある。

「TWO WEEKS」©2013 MBC

初めて会う我が子スジン(扮イ・チェミ)に「パパ」と呼ばれ、戸惑いつつ、父性が芽生えていくテサン。逃走中の試練にくじけそうになるときも、スジンの幻影に支えられ、家族を守る男へと変化していく様は感動もの。

濡れ衣を着せたボスを追い込んでいく頭脳プレイの痛快さ、危険に追い込まれたイネやスジンを守るために見せる強靭さ、道中困っている人を放っておけず助ける優しさなど、次第に表れていく本来の姿に、ぐいぐい惹かれていく。

スジンとの電話でのやり取り、父娘として初めて対面する場面は、温かさに涙が。幼い頃に母の自殺現場を目撃したため、血に対する恐怖があり、人を殺すことができないなど、「悪の花」のヒソンに通じる部分が多く、見比べても面白いかも。


TEXT:高橋尚子(編集・ライター)

Edited:野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)

© 株式会社エスピーオー