見たい未来@長崎 2022知事選<7完> 環境問題に取り組む高校生・岩瀬愛佳さん 異なる世代の声聞いて

異なる考えや世代の意見を聞く知事なら「信頼できそう」と語った岩瀬さん=諫早市内

 -昨秋、気候変動に危機感を抱く若者団体の代表として、県に「気候非常事態宣言」発出を求める請願書を県議会へ提出した。不採択となったが、その後は。
 学校で報告会を開くと、20~30人の生徒が熱心に聞いてくれた。環境イベントで知り合ったり、SNS投稿を見たりした他校の生徒も仲間になった。市民団体との意見交換やラジオ番組出演も。注目してもらってはいるけど、発信ばかりで、まだまだ評価されるような行動はできていない。

 -環境活動に関心を持ち、新たに協力してくれる高校生もいるようだ。
 今は学校でSDGs(国連の持続可能な開発目標)や環境に配慮した消費について学ぶし、県内でも毎年のように猛暑や豪雨災害が起きていて関心は高い。
 周囲には環境だけでなくジェンダーや平和などの社会的取り組みをする友人を手伝ったり、SNSで情報をシェアしたりする流れができている。特別に「意識が高い」からではなく日常。私も活動を始めるのは怖かったけど、すぐに「いいね」と肯定してもらえてエンジンがかかった。学校の探求学習として、授業以外の学びを追求していいという雰囲気も広がっている。

 -今後の活動は。
 政治へのアプローチをここで終わるのはもったいないし、「もう折れたのか」と思われたくないので再び行動に移したい。身近なところから輪を広げるため、地元の市長や市議に面会して政策提案をしてみたい。

 -一方で多くの若者は政治との距離を感じていて、10~20代の投票率は低い。
 友人とも最近話したが、教育に理由があるのでは。日本の学校は押しつけが多く、例えば生徒総会で理不尽な校則を変える提案をしても、納得のいく答えは返ってこない。声を上げても意見が通らないという経験の積み重ねが、「どうせ投票に行っても変わらない」という思いにつながっていると思う。

 -岩瀬さん自身は。
 請願前、政治は何がどう動いているのか見えにくく興味を持てなかった。18歳になって選挙権を持てば投票に行くとは思うけど、(選挙権付与そのものが)どこか「ふに落ちない命令」をされている感じだった。でも今回の請願活動を通じて、あらためて気付いた。政治家に不満を持っても、その政治家を選んだのは市民なんだって。実際に政治が物事を決める「道のり」もたどれたことで、投票に行かなければと感じた。

 -若者の投票率を上げるためには。
 SNSでの発信も大事だけど、表面的な情報でしかない。政策を詳しく書いたパンフレットを、選挙権がない子どもにも配ってほしい。18歳ですぐにちゃんと判断できるわけではない。何年もかけて選挙や政治に関わる時間を設けてほしい。例えば私は小さい頃からトランペットを練習してきたから、今はすっと吹ける。投票も同じではないか。

 -知事に求めることは。
 行政のトップとして怖いくらい大きな力を持っているからこそ、異なる意見を聞いてほしい。経済や観光は大切だけど、環境も同じくらい大事。年齢が上なら下の世代の声を、若い人なら高齢者の声を聞く。そんな知事なら信頼できそう。

 【略歴】いわせ・あいか 2004年生まれ。横浜市出身。一昨年、環境問題に関心が高い県内の高校生や大学生と「フライデーズ・フォー・フューチャー長崎」を設立、代表に就いた。県立諫早高2年、吹奏楽部。小学4年でトランペットを始めた。好きな食べ物は祖母のみそ汁。

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