世界に冠たるコンポーザー 鷺巣詩郎 アニメ『エヴァンゲリオン』から「JRAファンファーレ」まで、様々なジャンルのセルフカバーを収録した集大成の最新アルバム『SHIRO’S SONGBOOK 11』本日発売

1978年ザ・スクエア(現T-SQUARE)のデビュー盤にアレンジャーとして参加し、翌1979年に自身のデビューアルバム「EYES」をリリース、以来43年間にわたり作編曲家として精力的に活動してきた鷺巣詩郎。これまでに手掛けたヒット作品は数えきれず、プロデューサーとしても多くの作品やアーティストに携わってきた。ただし、鷺巣詩郎の自己認識はあくまでも「作編曲家」と「レコード・アーティスト」の両輪である。

鷺巣はこれまで正にライフワークとも言える作品集『SHIRO’S SONGBOOK』をシリーズのアルバムとして20年間で10作リリースしてきたが、この様な作品例は国内外にあまりないだろう。そんな歴史的作品の11作目となる今作は、黒人・白人・日本人シンガーによる多種多彩な歌唱あり、世界一のスタジオ大編成オーケストラから世界有数のリズムセクション、世界最先端のダンス・ミュージックありと、それらを駆使したオリジナル楽曲が収録されている。作品の中にはデモ音源として作られた物もあり、それらはデモとして作られたには完成度が高く、鷺巣のプロ意識の高さを感じられる。例えばDisc-1の3曲目〈break for the border〉もMISIAに提供した〈DIAMOND〉(2004)の原型、いわばプロトタイプであり、同じくDisc-1の11曲目の〈finest hour〉は福田雄一監督のミュージカル映画『ヲタクに恋は難しい』の為に作ったデモであったが、その後ヴォーカルが男性に変更となり、山﨑賢人が歌った「僕に何ができるのだろう」となった。その後出来上がった楽曲と聴き比べをするのもこの作品の楽しみ方である。

また聴き比べという楽しみはDisc-1の10曲目の〈persecution of the masses – völklingen funk〉でも。『シン・ゴジラ』でおなじみの荘厳なオーケストラのこの楽曲がSMAP楽曲などでおなじみのビートメーカー(鷺巣は“現在わが国最高のビートメーカー”と称えている)CHOKKAKUによりエレクトロ・ファンクに仕上がっているのは見事な限り。エヴァンゲリオンでおなじみの「what if?」も12曲目の〈what if? - vox orchestra〉で声のオーケストラ・ヴァージョンともいえる変化を遂げている。昨年、高橋洋子ヴァージョンがリリースされたのが記憶に新しいこの楽曲、今作では気鋭のアーティストにしてアレンジャーとしても名高いKOTETSUによりアカペラの美しいハーモニーから始まるゴスペル調のアレンジが施されている。               

他にも先鋭ダンスビート、沁みるバラードなど、歌モノを極めたDisc-1から、エヴァ、ナディアのセルフカバー、NHKスペシャルのテーマ曲などをオーケストラや合唱が感動的に奏でるDisc-2まで、どこを聴いても大傑作ぞろいで紹介しきれないのだが、その思いは全て鷺巣本人が約40,000字のライナーノーツに記載しているので、是非チェックして欲しい。

もはや、国、ジャンル、歌もの、インストというカテゴライズは、ここには存在しない。

▼リリース情報

鷺巣詩郎『SHIRO’S SONGBOOK 11』
2022年1月26日(水)発売
品番:UPCY-7766/7
仕様:CD 2枚組
価格:¥4,180(税込)

収録曲目:
CD I Vox theatrum
01 seventh heaven
02 out of sight out of mind
03 break for the border
04 soul love
05 never meant to be
06 you'll never lose
07 lap of the gods - choir
08 the sport of kings - champion of the game
09 trouble maker
10 persecution of the masses – völklingen funk
11 finest hour
12 what if? - vox orchestra
13 go on loving someone else
14 beautiful world - perfect and peaceful
15 he looked beyond my fault (amazing grace will always by my song of praise) 

CD II Orchestra theatrum
01 fly into the sky
02 peaceful times -Shiro SAGISU petit film (original soundtrack)
03 mambo s&y
04 mambo s&y - evolution process
05 CHASE YOUR DREAM (ブリヂストン パラメッセージムービー「私たち」篇より)
06 lap of the gods (神々の膝元~NHKスペシャル中国新世紀テーマ曲)
07 the champion - champion of the game
08 finest hour – musical theatre
09 citation from beethoven
10 angel of doom - symphonic transfigure
11 destiny - symphonic transfigure
12 the final decision - symphonic transfigure
13 dilemma - symphonic transfigure
14 dilemma – solo guitar
15 my beautiful blue earth - mov.1
16 my beautiful blue earth - mov.2
17 omni 00 - cello, we all love martin
18 (bonus) tribute to toki 

▼ プロフィール
鷺巣詩郎(さぎすしろう)
1957年東京生まれ。
1978年T-スクエアのデビュー作に参加以来、43年間ずっと第一線で活躍、驚異的なキャリアを誇る、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー。
30数年におよぶ庵野秀明とのコンビで、『エヴァンゲリオン』シリーズ全作を手がけ、世界中に多くの熱狂的ファンをもつ。
父うしおそうじ(1921-2004)を継ぎ、特撮アニメ制作会社ピー・プロダクション代表取締役。
近年では、東京オリンピック2020開会式「君が代」も手掛けている。

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