環形動物の新種、佐渡沖で発見 「キングギドラ」にちなんで命名

新潟県の佐渡島沖で体が分岐する新種の環形動物を東京大学大学院理学系研究科付属臨界実験所の三浦徹教授、ドイツのゲッティンゲン大学、スペインのマドリード自治大学、新潟大学などの国際研究チームが見つけた。東宝映画の「ゴジラシリーズ」に登場する三つの頭を持つ怪獣キングギドラにちなみ、「キングギドラシリス」と命名された。

東京大学によると、国際研究チームは佐渡島沖の浅い海の潜水調査でカイメンの体に共生し、体が分岐する環形動物を採集した。頭は一つしかないが、体の途中から尾がいくつも枝分かれするように生えていた。形態や内部組織の観察、分子系統解析の結果、ゴカイやミミズに近い環形動物シリスの新種であることが分かった。

体が分岐するところが頭を三つ持つキングギドラに似ているとして、キングギドラシリスと名づけられた。

シリスの仲間は尾の先の生殖器官が切り離されて繁殖する。体が分岐しているのは宿主のカイメンの体内で効率よく栄養を吸収し、繁殖するためでないかと考えられている。これまで体が分岐するシリスはアジアとオーストラリアで2種が報告されていた。

国際研究チームはキングギドラシリスの形態が一般的な動物に比べて極めて奇異なことから、生態や生理機能を解き明かすことで新たな生物学の知見を得られるのではないかと期待している。

論文情報:

【Organisms Diversity & Evolution】Ramisyllis kingghidorahi n. sp., a new branching annelid from Japan

© 大学ジャーナルオンライン