被爆者認定指針案 長崎市長「国に改善求める」 体験者が働き掛け要望

田上市長(左)に被爆体験者の救済を求める(右から)山内さん、岩永さん=長崎市消防局

 長崎原爆に遭ったが国の指定地域外にいたため被爆者と認められない「被爆体験者」が26日、長崎市内で田上富久市長と面会し、国に早期救済を強く働き掛けるよう要望した。田上市長は国が示している被爆者認定指針の改正骨子案について、「広島と長崎が違うという状況は必ず改善をしてもらわないといけない。できるだけ早い時期に国へ要望に行き、皆さんの思いを伝えたい」と応じた。
 厚生労働省が広島原爆による「黒い雨」被害救済に向けてまとめた骨子案は、広島の黒い雨に遭い、11疾病のいずれかにかかったことなどを認定要件とした。被爆体験者は対象外。長崎県・市は「受け入れられない」とし、国と県市は今後も協議を続けていく。
 被爆者認定を求める集団訴訟の原告、岩永千代子さん(86)は田上市長に「何も知らずに(放射能汚染された)井戸水や川の水を使い内部被ばくした。(長崎と広島で)分離したり差別したりしない行政を国に求めてほしい」と訴えた。同じく原告の山内武さん(78)は、被爆体験者訴訟の2陣原告約160人のうち40人以上が既に亡くなったとして「市長が国に訴えるということでありがたいが、早く実のある形にしてほしい」と求めた。
 体験者らは同日、県庁で中村法道知事にも面会し救済を求めた。


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