ULAがアメリカ宇宙軍の宇宙状況監視衛星を打ち上げ、Atlas V 511構成での初飛行

【▲ ケープカナベラル宇宙軍基地第41番発射台から打ち上げられた「アトラスV」ロケット(Credit: ULA)】

ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は現地時間1月21日、アメリカ宇宙軍の衛星打ち上げミッション「USSF-8」を実施しました。ULAの「アトラスV」ロケットに搭載された2基の衛星は、静止軌道に近い軌道(near-geosynchronous orbit)へ投入されたということです。なお、今回はULAにとって2022年最初の打ち上げとなりました。

今回打ち上げられたのは、静止軌道における宇宙状況監視(※)を目的とするアメリカ宇宙軍の「静止軌道宇宙状況監視プログラム」(GSSAP:Geosynchronous Space Situational Awareness Program)の人工衛星「GSSAP-5」および「GSSAP-6」の2基で、ノースロップ・グラマンが製造を担当しました。同社は2011年にこのプログラムが始まって以来、衛星の製造を行っているということです。

※…宇宙空間を安全に利用するために、人工衛星やスペースデブリ(宇宙ゴミ)の状況を把握したり状況を伝えたりする取り組みのこと

【▲ ノースロップ・グラマンが製造した人工衛星「GSSAP」の想像図(Credit: Northrop Grumman)】

GSSAP-5とGSSAP-6を搭載したアトラスVは、アメリカ東部標準時1月21日14時00分にフロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地41番発射台から打ち上げられました。固体燃料ロケットブースターと衛星を保護するフェアリングは、それぞれ打ち上げから約2分後と約3分半後に分離。フェアリング分離の1分後には第1段のエンジンが停止し、第2段のセントール上段ロケット分離に成功しました。セントールはエンジンの点火と停止を3回繰り返して軌道を変更し、打ち上げから6時間35分後と6時間45分後に2基の衛星の分離に成功したとのことです。

なお、今回の打ち上げに用いられたアトラスVは「Atlas V 511」と呼ばれる構成で、直径5mのフェアリング1本の固体燃料ロケットブースターを備えています。ULAによると、この構成でアトラスVが打ち上げられたのは初めてだということです。

また、今回はULAにとって148回目の打ち上げとなり、同社によると打ち上げの成功率は100パーセントを記録しています。アトラスVロケットの打ち上げ回数は今回で91回目となりました。ULAによる次回の打ち上げは、アメリカ航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星「GOES-T」ミッションが実施される3月1日の予定です。

Image Credit: ULA
Source: ULA/Northrop Grumman/SpaceNews
文/出口隼詩

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