永瀬廉主演作『真夜中乙女戦争』脚本・監督・編集の二宮健が自作を語り尽くす

King&Prince永瀬廉が主演を務めた映画『真夜中乙女戦争』の二宮健監督が、“映画を語る”配信番組「活弁シネマ倶楽部」に登場。映画評論家の森直人がMCを担当し、本作の魅力を紐解くトークを繰り広げている。

本作は、新鋭作家・Fによる同名小説を映画化したもの。夢も趣味も特技もなく、退屈な大学生活に辟易していた一人の若者が二人の魅力的な存在と出会い、成長を遂げ、やがて想像を絶する事態に巻き込まれていくさまを描いている。主人公の“私”役を務めているのは、映画『弱虫ペダル』や連続テレビ小説『おかえりモネ』の好演が話題となった永瀬廉。本作では自意識に塗り固められた孤独な等身大の若者に扮し、壮大な物語を牽引している。そして、“私”を魅了する“先輩”と“黒服”役には、池田エライザと柄本佑がそれぞれ配された。二宮監督の持ち味であるスタイリッシュな映像と演技のかけ算が見どころだ。

原作小説を読んでから映画を鑑賞したという森が、「この作品を映画用に脚色するのはすごく難しいのではないかと思いました。“私”という主人公の一人称視点で、すごく饒舌ですよね。これを映像的に設計し直さなければならないというのがポイントになるのかなと」と言うと、「オファーをいただいてから読んだのですが、読み進めているうちに、だんだん『ファイト・クラブ』のようだって分かってきますよね。面白く読んで前のめりに受けてしまったので、後になって、これをどうしようかと……。『何とかしよう!』と決心しました」と、オファーを受けた際のことを二宮監督は振り返っている。

続けて二宮監督は、「紆余曲折がありました。脚本は23稿まで重ねたんです。いろいろとアプローチを変えてみて。それで、『よし、これで行くぞ』というときにコロナ禍に入ったため、撮影も一年延期になりました。その結果、準備まで進めていた脚本の内容を、一度ゼロに戻したんです。コロナ禍を予見していなかったわけで、完全に変わりましたね。出てくるシーンも違うし、いまのようなポスターになっていなかったと思います。元はもう少しメロウだったんです。コロナ禍を経て、もっとヒリヒリ感のある方へ振っていきました」と、コロナ禍の到来によって変化した脚本について語っている。

森が脚色に関し、“人物の配置”について問うと、「原作では“先輩”と”黒服”がまったく絡み合いませんよね」と二宮監督。「これが大きく違う。映画では“私”、“先輩”、“黒服”による三角の、ある種のパワーゲームみたいなところがありますよね」と、森は物語の中心となる三者の関係への印象を述べている。「“先輩”というヒロインの行動の中に主体性が生まれてきて、物語に絡み合っていくというものに、コロナ禍を経て最終的にたどり着いたんです」と、激変する社会環境に合わせて変化していった脚本について監督は語り、『合葬』などの監督である小林達夫や、原作者であるFの協力が大きかったことも明かしている。

もちろんこのトークでは脚本だけでなく、主演の永瀬廉、柄本佑、池田エライザ、柄本佑らの魅力や起用理由、スタッフィング、映画好きが集まった現場での裏話にも話が及んでいる。

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■『真夜中乙女戦争』■

脚本・監督・編集:二宮健

出演:永瀬廉、池田エライザ、柄本佑ほか

あらすじ

4月。上京し東京で一人暮らしを始めた大学生の“私”。友達はいない。恋人もいない。大学の講義は恐ろしく退屈で、やりたいこともなりたいものもなく鬱屈とした日々の中、深夜のバイトの帰り道にいつも東京タワーを眺めていた。そんな無気力なある日、「かくれんぼ同好会」で出会った不思議な魅力を放つ凛々しく聡明な“先輩”と、突如として現れた謎の男“黒服”の存在によって、“私”の日常は一変。人の心を一瞬にして掌握し、カリスマ的魅力を持つ“黒服”に導かれささやかな悪戯を仕掛ける“私”。さらに“先輩”とも距離が近づき、思いがけず静かに煌めきだす“私”の日常。しかし、次第に“黒服”と孤独な同志たちの言動は激しさを増していき、“私”と“先輩”を巻き込んだ壮大な“東京破壊計画=真夜中乙女戦争”が秘密裏に始動する。一方、一連の事件の首謀者を追う“先輩”は、“私”にも疑いの目を向けていた。“私”と“先輩”、“私”と“黒服”、分かり合えたはずだった二人の道は少しずつ乖離していき、3人の運命は思いもよらぬ方向へと走りだす……。

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