しまなみ海道でいま熱い、最新の見どころ!サイクリングで絶景の島巡り

出発は尾道から!船上で海を満喫

しまなみ海道」は、瀬戸内海を横断する約70キロメートルのサイクリングロード。途中には、生口島(いくちじま)、大三島(おおみしま)など、風光明媚な島々があります。

今回は、この「しまなみ海道」でいま熱い人気スポットを巡る、1泊2日旅をお届けします!

おだやかな風と島が織りなす瀬戸内海を船で往来するのは、島の日常でしょう。でも、筆者のような観光客にとっては、楽しい非日常の体験です。

今回はまず、広島県の尾道市から、生口島の瀬戸田(せとだ)港まで船で向かいました。

乗ったのは、「瀬戸内クルージング」の旅客船「シトラス」(大人片道1,300円、船内で現金払い)。1日7~8便出ており、自転車も積み込めます。

船酔いしやすい筆者ですが、美しい景観に魅せられているうちに、あっという間に港に着いてしまいました!

母への愛に満ちた「耕三寺」と「未来心の丘」

瀬戸田港の近くにある「耕三寺(こうさんじ)」は、明治生まれの実業家、耕三寺耕三(こうさんじ こうぞう)が母への感謝を込めて建てたお寺。

日光の東照宮や、京都の世界遺産・平等院鳳凰堂を参考にしながら、オリジナリティもあふれる建築は、芸術的に高く評価されています。境内には、日本の登録有形文化財に指定された堂塔が15棟あります。

中を進んでいくと現れるのが、「未来心(みらいしん)の丘」。最近の注目スポットです。

荘厳な白い空間は一見、仏教と関係なさそうに見えます。でも、実はここにある彫刻は、仏教を守る12の善神(十二天)を表すのだとか。

ここで使われた大理石は、合計3,000トンにもなります。それらは全て、制作者である彫刻家・杭谷一東(くえたに いっとう)のアトリエがあったイタリアのカッシーラで採掘されたもの。

純白の大理石は、周りの島の風景も際立たせます。この中にいると、自分も絶景の一部になったように感じました。

ピッタリな自転車を選ぼう!瀬戸田町観光案内所

次に向かったのは、レンタサイクルスポット「瀬戸田町観光案内所」。瀬戸田港や耕三寺から歩いて行けます。

ここでは、クロスバイクや軽快車(ママチャリ)、シティサイクル、電動アシスト自転車、子ども用自転車を借りることができます。

自転車に乗り慣れていない方にも、スタッフが丁寧に乗り方や注意点を教えてくれるので安心ですよ。

筆者が借りたクロスバイクは、車体が軽くて乗りやすく、初心者にもオススメです。

料金は1日2,000円。保証料が1,100円(両方税込)かかりますが、これは借りた場所に返却した場合は返金されます。

瀬戸田町観光案内所では、ロッカーが併設されています。ロッカーに入りきらない大きな荷物も、300円で案内所に預かってもらえますよ。

島が誇るおみやげ!島ごころSETODA

パティシエの技術と、生口島が日本最大の生産量を誇るレモンを結びつけ、オーナーが創り出したのが、唯一無二の「瀬戸田レモンケーキ 島ごころ」です。

そのおいしさの秘密は、果肉ではなく皮を使って香りを引き立てていること。クリームと小麦粉の比率は、室温・水分量に応じて毎回調整しているのだとか。作業工程の多くを人手で行い、グッドデザイン賞も受賞した逸品です!

本店では、出来立てのレモンケーキとシュークリームを購入可能。お店の中や、テラス席で味わうこともできます(テイクアウトの場合、レモンケーキ・シュークリーム各税込250円。店内で食べる場合は税込255円)。

どれもが芸術!島ごと美術館

生口島では、1989年に「瀬戸田ビエンナーレ」が開催され、島の各地に17のアート作品が制作されました。それらは、現在も楽しむことができます。

特に、瀬戸田港から自転車で行ける「サンセットビーチ」には、3つの大作があります。

眞板雅文(まいた まさふみ)の「空へ」、植松奎二(うえまつ けいじ)の「凪のとき 赤いかたち/傾」、松永真(まつなが しん)の「千里眼“のぞいてみよう、瀬戸田から世界が見える。”」です。

作品は美しい砂浜の景観をさらに引き立たせ、長年にわたり多くの観光客を惹きつけています。

ここで、先ほど「島ごころSETODA」で購入したレモンサイダーとレモンケーキで、楽しいアフターヌーンティー! 青空の下、海辺に座ってリラックスしながら、スイーツと飲み物を楽しみました。

2021年オープン!銭湯併設の宿泊施設「yubune」

生口島の宿泊場所といえば、2021年3月に立ち上がった新しい旅館ブランド「Azumi」が手掛ける2つの施設が見逃せません。

生口島は、人口1万人未満の島ですが、豊かな歴史と伝統があります。その歴史を受け継ぎ、築140年の屋敷を改築した旅館が「Azumi Setoda」。そして、その向かいに建つ銭湯兼宿泊施設の「yubune」です。

2つの宿泊施設は、この地の伝統を感じさせつつ、時代のニーズにも合った空間を作り出しています。

筆者は今回、「yubune」に一泊しました。

部屋に入ると、畳の清々しい香りが立ち上りました。木材などは天然の無垢材が使われており、高級感が漂います。

1Fの「土間」タイプの部屋の場合、室内に自転車を持ち込むことも可能です。

銭湯とサウナは、宿泊客はもちろん、日帰り客も楽しめます。

壁画には、瀬戸内海の情景が描かれています。季節によっては、レモン湯や塩の湯に入るチャンスも。

2Fのラウンジでは、昔懐かしい駄菓子を販売。さらに、宿泊者はセルフサービスでさまざまな飲み物を楽しめます。湯船に浸かった後、こちらで冷えたビールを堪能してはいかが?

新鮮な朝食を!地域に愛される「SOIL Setoda」

「yubune」のすぐ近くには、2つのカフェと宿泊施設、体験案内所が入った複合施設「SOIL Setoda」があります。

ここにあるカフェ「Minatoya」で、「yubune」の宿泊客は朝食を食べることができます。提供されるのは、地元農家や漁師から得た新鮮食材で作った和食と洋食。取材時は、おにぎり定食と、ベーグルの盛り合わせがありました。

なお、「SOIL Setoda」の施設の一部は、明治時代の蔵をリノベーションしたもので、そこも見逃せないポイント。

また、もうひとつのカフェ「Overview Coffee」では、こだわりのおいしいコーヒーを提供しており、こちらもオススメです。

マネージャーの鈴木慎一郎さんは、生口島が好きでやってきた移住者です。「SOIL Setoda」は2021年4月にオープンしたばかりですが、すでに常連客もいるのだとか。

営業時間は変更がある場合があるので、行く前にInstagramをチェックするとよいでしょう。

瀬戸内海を見渡せる多々羅大橋

多々羅大橋は全長1480メートル、日本最長の斜張橋ですが、サイクリング初心者でも走りやすいコースです。筆者は取材当日、修学旅行でサイクリングを楽しんでいた中学生グループに会いました!

多々羅大橋を渡ると、愛媛県の大三島に入ります。大三島は、美術館が多数あるほか、愛媛県最古の神社がありますよ。

借りた場所以外のターミナルへの自転車返却・タクシーサービス活用

大三島に着いたら、筆者は多々羅しまなみ公園内にある「上浦レンタサイクルターミナル」で自転車を返しました。

レンタサイクルサービスを行う「しまなみジャパン」には、「瀬戸田町観光案内所」を含め5カ所の貸し出しスポットと、13カ所の返却スポットがあります。電動アシスト自転車とタンデム自転車以外は、借りたターミナル以外の場所で返却できるのです!

多々羅しまなみ公園で見逃せないのは、「サイクリストの聖地碑」。台湾の日月潭と「しまなみ海道」の姉妹自転車協定の締結、国際サイクリング大会の開催を記念し、2014年に建てられたものです。筆者もここで記念写真を撮りました。

筆者はそれから、ツーリズム総合施設「WAKKA」で、E-Bikeをレンタル。これは、起伏がある場所でもゆったりサイクリングするのにぴったりです。

さらに、この次はアップダウンの激しい山道を通ることもあり、自転車と一緒に次の目的地まで乗せていってくれるサイクリスト専用タクシーをお願いしました。

「WAKKA」は、サイクリストが安心して思い切り自転車旅を楽しんでほしいという願いから生まれました。施設内にはホテルやカフェがあるほか、アクティビティも提供しています。

自転車関係のサービスは、9:00~18:00(火曜日定休)で営業しています。

日本初の建築の美術館!今治市伊東豊雄建築ミュージアム

伊東豊雄は、台湾の「台中国家歌劇院」をはじめ、斬新なデザインの建物を多く手掛けてきた世界的な建築家です。

彼は縁があり、2011年、瀬戸内海を一望できる大三島の一角に日本初の建築ミュージアムをつくりました。

この「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」は、今治市の主力産業・造船業の船を連想させる「スティールハット」と、東京にあった伊東氏の旧宅を再現した「シルバーハット」、そして屋外に展示された3つの建物の模型で構成されています。

「スティールハット」は、伊東氏の建築思想や島の再興プロジェクトの活動を展示してしているユニークなスポット。2022年9月までは、開館10周年記念展「もうひとつのユートピア」を開催中です。

他方で、建築図面の資料展示施設「シルバーハット」は、海を見ながらリラックスしたり本を読んだりできるオープンスペースがあり、心が安らぎます。

愛媛県最古の神社!山・海・戦の神を祭る大山祇神社

大山祇(おおやまづみ)神社は、山・海・戦の神を祭る、日本総鎮守の号を持つ神社です。

境内には、樹齢2600年の巨大なご神木のほか、国指定重要文化財に登録されている屋根檜皮葺(やねひわだぶき)の本殿と拝殿があります。

古来、武士たちは戦いに勝利して帰還できるよう、この神社で祈願し、戦いに勝った後は鎧兜、太刀などを祭りました。大山祇神社の宝物館には、日本で国宝や重要文化財の指定を受けた武具の約8割が集まっており、とても見ごたえがあります。

大山祇神社へ参拝すると、時間の流れが変わるような、荘厳な雰囲気をひしひしと感じるでしょう。開門時間は日の出ごろから17:00までとなります。

今治市内へ、次の旅へ出かけよう!

島巡りの最後は、「WAKKA」に戻ってE-Bikeを返却。そして再びタクシーサービスを使って大三島の停留所へ行き、今治駅方面に行く高速バスに乗りました。

今治市内には「日本100名城」に選ばれた今治城をはじめ、観光スポットが多数あります。ぜひ、次の旅へ出掛けてくださいね!

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