“暴行動画”も…追い込まれる技能実習生たち

ベトナム人技能実習生が所属する企業で約2年間にわたって暴行を受けていた問題。

取材してみると近年、こうした事案が増えている実態が見えてきました。

ほうきで殴られているのはベトナム人実習生の男性(41)。暴行しているのは日本人の従業員です。

岡山市の建設会社で働き始めましたが約2年間にわたり複数の日本人従業員から暴行を受け、歯が折れたり、肋骨3本を骨折したと訴えています。

ベトナム人技能実習生「怒っても我慢しないといけないと思っているから、2年間ずっと我慢してきました」

男性は去年10月、福山市の労働組合に助けを求め、現在はシェルターで保護されています。

古川禎久法務大臣「技能実習生に対する暴行等の人権侵害行為は決してあってはならず、入管庁に対して速やかに対応するよう指示した」(25日閣議後会見)

法務大臣も入管庁に対応を指示するなど波紋を広げています。

労働組合によりますと会社側は事実関係を認め、謝罪と補償の意思を明らかにしているというとです。

福山ユニオンたんぽぽ 武藤貢執行委員長「今の日本社会の人権意識の問題とか、アジアの人たちに対する目線ということも含めて大枠は技能実習生の在り方というところが凝縮された事案だと思っています」

県内で働く技能実習生は約1万7千500人。

製造業や建設業などを対象に日本の技術を途上国に移転するとされているものの、実際は安価な働き手として期待される傾向にあります。

多額の借金を背負って来日する実習生も多く、職場での暴力や暴言なども問題となっています。

武藤さんたちの労働組合は16年前から外国人技能実習生の保護や未払い賃金の解決などを行ってきました。

ここ数年は特に相談が多く年間50件以上も。10人以上をシェルターで保護していたこともあるということです。

今回の問題、詳細を確認しなかった受け入れやサポートを行う監理団体にも責任があると訴えます。

福山ユニオンたんぽぽ 武藤貢執行委員長「しっかり監理団体が教訓にすればいろんな暴力の問題が数々あるんだから、そこを改善していくという勉強はできる。それをやっていない」

被害を訴えたベトナム人技能実習生には、事情を知った県内外の企業から雇用したいという誘いが相次いでいるということです

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