土壌にもみ殻 脱炭素研究 栃木県が新年度方針 農業分野取り組み加速

 県は26日までに、農業分野の温室効果ガスを削減する事業費として約3600万円を、2022年度一般会計当初予算案へ盛り込む方針を固めた。国は50年までに農林水産業の温室効果ガス排出ゼロを目指す「みどりの食料システム戦略」を掲げており、県内の取り組みを加速させる。農地面積の約8割が水田を占める本県で、炭化処理したもみ殻を土壌にすき込み、温室効果ガスを削減する方法を研究する。木材由来の燃料活用や、環境などに配慮した「エシカル(倫理的)消費」のニーズ調査も進める予定。

 もみ殻を炭化処理した「もみ殻くん炭」は、保水成分を高めるなど土壌改良に活用されている。炭素を土壌中に取り込むことで、温室効果ガス削減の効果がある。

 筑波大が設置したつくば機能植物イノベーション研究センター(茨城県つくば市)によると、年間200万㌧排出されるもみ殻の35%は廃棄されている。同センターの研究では、1㌶当たりもみ殻くん炭40㌧を使用すると、10㌃当たり二酸化炭素(CO2)約5㌧相当の温室効果ガスを土壌中に取り込む効果が推計されたという。

 新たな事業では、県の研究機関でもみ殻くん炭が土壌中に取り込む炭素量を調べ、将来的に農業の現場で展開するためのデータを収集する。

 農業分野での温室効果ガス削減やエシカル消費を進めるため、県や農業団体、民間企業などと一体となった普及推進も想定される。官民で機運を高める狙いがある。

 みどりの食料システム戦略では、脱炭素や環境負荷軽減に役立つ資材やエネルギーの調達も掲げる。新たな事業では、国費を活用し、トマトなどの農業施設で重油から木質バイオマス燃料に切り替える費用を助成する取り組みも盛り込まれる見通し。

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