KONDO RACING移籍の平手晃平。スーパーGTキャリアのなかでも意外な「新たなチャレンジ」へ

 1月25日、三重県の鈴鹿サーキットでスタートしたスーパーGTのメーカーテスト。今季初めて3メーカーのマシンがともに走行したが、この走行初日に発表されたニッサン/ニスモの2022年体制でKONDO RACING加入が発表されたのが、二度のGT500チャンピオンである平手晃平だ。新たな体制でのシーズンに向け、意気込みを聞いた。

 平手は2009年〜2017年にレクサスでGT500を戦い、2013年、2016年にチャンピオンを獲得。1年をGT300で過ごした後、2019年にニッサンに加わり、NDDP RACING with B-MAXでフレデリック・マコウィッキ、千代勝正とともに戦ってきた。

 そんな平手がニッサンに加わった後、初めてのチーム移籍となったのが今回のKONDO RACING加入。「12月暮れには決まっていたので、早く発表したかったんですけどね(笑)」という平手は、富士で行われたZ GT500のシェイクダウンテストではチームに加わっていたものの、その際は新たにチームメイトとなる佐々木大樹に任せていたため、今回の鈴鹿が初めてのZ GT500のドライブとなった。

「GT-Rのときはフロントのダウンフォースの出方がピーキーなところがありましたが、マイルドになっていますね。空力面では良くなっている印象があります。今後ダウンフォースの出し方もありますが、タイヤに求められるものが変わってくるかもしれません」とZ GT500の感想を語った平手。

 その言葉にもあるとおり、KONDO RACINGではヨコハマの開発も重要な役割となる。平手はGT500ではデビュー時のSC430ではダンロップ、その後ブリヂストンを履き、ニッサンに加わってからはミシュランを履いてきた。GT300でもミシュラン、ブリヂストンというキャリア。じつはスーパーGTのレースで初めてヨコハマを履くのだ。

「ヨーロッパから2007年の暮れに戻ってきて、石浦(宏明)くんと、つちやエンジニアリングのSC430を鈴鹿で走らせたことあるんです。あとは2018年のオフに、ニッサンのテストで全車乗ったので、ヨコハマを走らせたのはその2回だけです。これで4メーカー全部ですからね。他になかなかこんな経験があるドライバーはいないんじゃないでしょうか(笑)」

 もちろん、そんな平手の経験はヨコハマにとっても大きな手助けになるはずだ。「タイヤメーカーからしてみれば、他社の経験のフィードバックが僕から引き出せればと思うところもあると思いますし、僕もヨコハマさんに改善すれば良いところをお伝えしたいと思っています」と平手。

「ヨコハマも2021年に良い構造やコンパウンドなど見えてきたところがあると思いますし、そこを伸ばせばもっとポテンシャルが上がることも分かっているはずです。そこを自分のフィードバックを混ぜてどこまで伸ばせるか……というのが、僕の今回の移籍で期待されているところです」

 また新たにチームメイトとなる佐々木については、「無口なタイプではないので、すぐに慣れると思っています。年下が慣れていないんですけどね(笑)」と平手。こちらも少々驚きなのだが、今までのキャリアでGT500で組んできたアンドレ・クート、立川祐路、ヘイキ・コバライネンはいずれも年上。千代勝正も学年違いのほぼ同い年で、年下(と言っても5歳差だが)と組むのは初めてなのだ。

 2022年に向けては「新たなチャレンジ」と平手は言う。

「チームはすでにできあがっていますし、大樹もポテンシャルがあるドライバーですからね。僕がそこに入り、新しいクルマとチームに慣れ、タイヤ開発をどれだけ開幕までに進められるかではないでしょうか」

平手晃平がドライブするKONDO RACINGのニッサンZ GT500
平手晃平がドライブするKONDO RACINGのニッサンZ GT500

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