林遣都「波瑠さんは、周りに影響を与えてくれる」――「愛しい嘘〜優しい闇〜」インタビュー

テレビ朝日系で毎週金曜日に放送中のドラマ「愛しい嘘~優しい闇~」。原作は愛本みずほさんによる同名漫画で、中学卒業から14年ぶりに開催された同窓会をきっかけに起こる同級生“連続不審死”事件を軸に、超高速展開で二転三転していくラブサスペンスです。

第1話の見逃し配信再生数は157万回を突破し、金曜ナイトドラマ枠史上最高の第1位となっている本作(1月24日時点、TVer・ABEMA・テレ朝動画・GYAO!の合計値 ※テレビ朝日調べ)。先週放送された第2話では、地元・山梨で行われた同窓会の後に遺体となって発見された岩崎奈々江(新川優愛)の死の真相を突き止めるべく、主人公・今井望緒(波瑠)が友人の本田玲子(本仮屋ユイカ)らとともに奔走。しかし、望緒が何者かに命を狙われるという新たな事件も起こり、謎は深まるばかり。さらに、ラストでは友人の野瀬優美(黒川智花)の家を訪れた望緒が、優美とその夫・正(徳重聡)との“不穏なやりとり”を目撃してしまったのです…。

優美と正の間には何があるのか? 第1話から続く“奈々江の死の真相”とは? 核心に迫っていく第3話を前に、謎めいた表情や行動が多くの視聴者をざわつかせている望緒の“初恋の人”・雨宮秀一を演じている林遣都さんのインタビューをお届けします。「怪しい!」とネット上でも考察されている雨宮役の印象や、信頼を置く脚本家・丑尾健太郎さんの魅力、さらに映画「ちーちゃんは悠久の向こう」(2008年)で初共演して以降、映画「コーヒーが冷めないうちに」(18年)などで共演を重ねている波瑠さんへの思いなどをたっぷりと伺いました。

――本作に出演が決まった際、率直に感じたことを教えてください。

「これまで何度か共演させていただいた波瑠さんが主演で、その波瑠さんが演じる望緒と関わっていく役というお話をいただき、面白そうな作品をまた一緒に作ることができるのが楽しみだなと感じました。原作も読ませていただいて、先が気になってページをめくる手が止まらなくなるようなストーリーで。ドラマの脚本は、回を重ねるごとに一人一人の特徴がより色濃く膨らんでいくので、僕が演じる雨宮という役も“これまで彼がどうやって生きてきたのか”をしっかりと自分の中で落とし込んでいかなければと感じ、とてもやりがいのある作品だなと思いました」

――今回演じられる雨宮秀一役について「武者震いを覚えた」とコメントされていました。どういった点でそう感じたのでしょうか?

「原作を読んだ時に『すごく面白い』と感じました。だから、こういった難しくもやりがいのある役を今の自分に与えてくださったことに対する喜びと、しっかりと役をものにしなければいけないという気の引き締まる思い、いろいろな感情が渦巻いていたので、“武者震い”という言葉を使わせていただきました」

――「愛しい嘘」では登場人物が秘密やうそを抱えている設定ですが、雨宮を客観的に見てどのような人物だと思いますか?

「予告映像やポスターにも『登場人物、全員嘘つき』というようなことが書かれている中で、雨宮も間違いなく最初から怪しいんですよ。僕も原作を読ませていただいた時からそれはずっと感じていますし、雨宮の怪しさというのは誰が見ても感じると思います。『(雨宮は)怪しくていいんだ』と考えながらも、見てくださる方の想像や予想をしっかりと覆していけるように最後まで演じていければなと思っています」

――今回、波瑠さん演じる望緒とのシーンが多いと思いますが、林さんが思う波瑠さんの魅力はどんなところにありますか?

「10代の頃に出会ってから、年齢を重ねてもずっと目が透き通っている、透明感のようなものが全く変わらないんです。波瑠さんは、ずっと作品を背負い続けてきた方で、この『愛しい嘘』の現場でも常に“今井望緒”という人物でいて、お芝居が始まったら基本的にセリフを間違えたりするようなこともない。一緒に撮影をしていてこちらもすごく気持ちが入りますし、周りに影響を与えてくれるような、そんな座長なのではないのかなと思います」

――先ほど脚本のお話がありましたが、本作で脚本を担当されている丑尾健太郎さんに対して、林さんの信頼がとても厚いなと感じました。林さんが思う、丑尾さんが手掛ける脚本の魅力を教えてください。

「原作漫画がありながらもオリジナル要素の深みがあり、一人一人の人物背景がしっかりと出来上がった状態でいろいろな展開を作り上げているので、『どれだけ時間をかけて構築しているのだろう』と感動させられるくらい仕上がっているんです。原作が持つ“先が気になる、手が止まらなくなるような物語”をベースに置きながら、ドラマならではの面白さも盛り込まれているんです」

――実際に第1話、第2話をご覧になって気付いたことはありましたか?

「第1話を見て思ったのは、それぞれの人物に“何かある“という一瞬の表情や言動がすごく面白いのに、視聴者の方をはぐらかしたり、バレないように隠すというような作り方を一切していないんです。サスペンス要素の強い作品の中で、後で見返した時もすべてのつじつまが合う構成になっているところが本当にすごいなと思います」

――なるほど。第1話のラストでは奈々江が亡くなり、第2話でも登場人物の裏の部分がどんどん出てくる展開が続いていますが、最後に今後の見どころを教えてください。

「雨宮は第1話から登場しているのに、見えてこない部分がほとんどだと思うんです。その中で、“母の存在”という一つの大きな要素が答え合わせのようになって、そこからまた展開が分からなくなるところで第3話にバトンタッチしていくような、そんな展開になっていると思います。物語の序盤では、“雨宮の謎めいた部分”が大事であることを自分でくみ取りながら撮影していたので、見てくださっている方がどういう反応をくださるのか、今後も楽しみです。物語は、これから少しずつ明かされる真実も出てきつつ、また新しい謎が生まれてきたり、少し大きな事件も待っているので、怒濤(どとう)の展開を楽しみにしていただけたらと思います」

――ありがとうございました!

【プロフィール】

林遣都(はやし けんと)
1990年12月6日生まれ。滋賀県出身。射手座。O型。主な出演作に、ドラマ「おっさんずラブ」「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」(ともにテレビ朝日系)、「姉ちゃんの恋人」「世界は3で出来ている」(ともにフジテレビ系)、NHK大河ドラマ「いだてん」、NHK連続テレビ小説「スカーレット」、映画「バッテリー」(2007年)、「風が強く吹いている」(09年)、「しゃぼん玉」(17年)、「わたしをくいとめて」(20年)、「犬部!」「恋する寄生虫」(21年)など。

【番組情報】

「愛しい嘘~優しい闇~」
テレビ朝日系
金曜 午後11:15~深夜0:15
※一部地域で放送時間が異なります

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子

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