「高校球児に生の応援歌を届けたい」 赤字覚悟で全国を回るミュージシャンの思い

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高校無料訪問ライブを行っている音楽ソロユニット・ビーグルクルーのYASSさん【写真提供:ビーグルクルー】

ビーグルクルー「My HERO」は多くの高校野球部の応援曲に「今度は僕が助ける番」

3月18日に開幕する選抜高校野球大会(甲子園)の出場校が28日に発表される。コロナ禍で出場辞退となった高校球児や辛い思いをした学生たちを生歌で応援したい――。そんな活動をしているのが音楽ソロユニット・ビーグルクルーのYASSさんだ。巨人・中田翔内野手の登場曲で、多くの高校野球部の応援曲となっている「My HERO」を全国47都道府県の高校などへ届けようと活動している。

きっかけは「知り合いの息子さん」だった。その子は創成館高(長崎)の硬式野球部に所属。2020年選抜大会の出場を決めていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で大会直前に中止となった。

「甲子園出場にすごい喜んでいたんですが、悲しんでいる姿を見て……。実際はこの何十倍、何百倍の高校生が辛い思いをしているんだろうな」。2016年の甲子園で愛知の強豪・東邦高が応援曲として演奏。自身の歌が甲子園のテレビ中継から聞こえてくることは音楽活動の大きな励みとなっていた。

「多くの高校生が歌を広めてくれた。今度は僕自身が助ける番だと思いました。高校球児に生の応援歌を届けたい」。この思いが活動の出発点となった。

高校無料訪問ライブ。高校や団体からの申し込みは実に150以上あったという。昨年9月上旬のクラウドファンディングで集まった61万円の支援金で、主に生徒へ無料配布するCDを制作した。「コロナ禍で今の高校生はなんでもNGの中で生活している。ライブを聞いて、言葉と音楽を体感してもらうことで、そこに感動を作りたい。デジタルの世の中ですけど、その中でリアルを伝えたい」。赤字の活動となっているが、47都道府県を回る覚悟。今後はNPO法人を設立することも検討中だ。

1月上旬に松商学園高(長野)で訪問ライブ。ここまで福岡、徳島、北海道の計6団体へ生歌を届けている。「行く先、行く先でドラマがあるんです。本当にやりがいを持ってやらせてもらっています。子どもたちから元気をもらっています」。音楽が高校球児たちの励みになれば……。そんな思いに突き動かされている。(小谷真弥 / Masaya Kotani)