社説:北朝鮮ミサイル 日米韓の連携が重要に

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 北朝鮮が日本海に向けてミサイル発射を繰り返している。

 27日には短距離弾道ミサイルと推定される2発を発射した。今年に入り6回目だ。

 弾道ミサイル発射は、明らかに国連安全保障理事会の決議違反だ。船舶や航空機への危険をかえりみず、周辺地域の緊張を高めている。断じて許されない。

 日本と米国、韓国は来月中旬にも外相会談を開く方向で調整している。新たな北朝鮮情勢を踏まえ、連携強化を急ぐ必要がある。

 北朝鮮は今月5~17日に弾道ミサイルを4回発射。25日には巡航ミサイルとみられる2発を発射した。極超音速や低い高度、変則的な軌道といった性能を確認し、見せつけた可能性がある。実験や訓練を重ね、ミサイルの高度化をめざしているようだ。

 さらに気になるのは、先日の朝鮮労働党の会議で、核実験や米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の再開を示唆したことだ。

 これらは、2018年のトランプ前米大統領と金正恩総書記の首脳会談を前に封印していた。しかし、米国が「敵視政策」を続けているとして、大きく方向転換した可能性がある。

 ミサイル発射で危機感を高めて対米交渉に持ち込む「瀬戸際戦術」を復活させたとしたら、お門違いというほかない。

 北朝鮮は、かつて表明した朝鮮半島の非核化や核実験中止を進めるよう求められてきたが、国際社会の期待を何度も裏切ってきた。

 新型コロナウイルスの感染防止のための国境閉鎖や、米国などによる制裁で国民の窮状が想像される。ミサイル発射は不毛というしかない。

 相次ぐ発射を受け、国連安保理が開かれてきたが、非難決議を出せないでいる。中国とロシアが消極的で、むしろ制裁解除を口にしている。米国と中ロの対立が北朝鮮情勢にも影を落としており、安保理事国としての責務を果たしていない。

 日米韓の連携が重要性を増しているのに、日韓の間はぎくしゃくしている。元徴用工問題など歴史認識の違いに足をとられず、安全保障を巡っては協調に努めるべきだ。

 度重なるミサイル発射で、与党内では「敵基地攻撃能力」の保有を検討すべきとの声が出ている。しかし、専守防衛からの逸脱は許されず、議論は慎重でなければならない。緊張を生み出す挑発に乗らず、冷静な対応が求められる。