茨城・明秀日立の田中杏璃さん 初の女性マネジャー 「憧れの舞台」意気込む

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選抜高校野球大会の出場が決まり、仲間と共に喜ぶ明秀日立マネジャーの田中杏璃さん=28日午後、日立市神峰町

■強い思い、努力結実

明秀日立(茨城県日立市)が28日、第94回選抜高校野球大会への出場を決めた。4年ぶりの大舞台は、選手たちの力だけでなく、同校初の女子マネジャー、田中杏璃さん(17)の力も大きかった。ベンチから大きな声を出し、豊富な野球知識を生かしてナインを後押しする。部員と共にグラウンドで吉報を受けた田中さんは「憧れの舞台に立つ自覚を持って頑張りたい」と意気込む。

宮城県出身。2学年上の兄大誠さん(19)=現・東北福祉大=の背中を追い、「一緒に甲子園に出たい」と入部を志願した。ただ、同校ではマネジャーを募集していなかった。

金沢成奉監督(55)に手紙を書いて直訴した。「支える立場で野球部の力になりたい」。熱意は伝わった。監督も「手紙通りになるようにしたい」と受け入れる体制を整えた。

だが、入部がかなって兄と一緒に挑む予定だった2020年夏は、コロナ禍の影響で甲子園が中止となった。目指すことすらできなかった。代替大会でも思うように支え切れず、悔いが残った。

1年生の秋、「兄の代の代わりに、自分が甲子園に行かなきゃいけない」と決意を新たにした。そのために「自分ができることは最大限にやろう」。試合中、相手選手も含めしっかり観察し、感じたことを声に出すようにした。

昨秋の大会では、打球が上がると飛んだ方向をすかさず指示し、相手走者の動きを察知すると「ディレードある」と声を張り上げた。この働きに指揮官も「声を出すのが誰よりも早い。選手や監督と同じ目線で戦ってくれて、チームへの影響力は大きい」と目を見張る。

野球の知識は、選手にも負けていない。祖父と父がボーイズチームの指導者を務める「野球一家」で育ち、自身も小学生の頃は外野手としてプレーした。中学時代は宮城仙北ボーイズにマネジャーとして所属。「高校で即戦力になれるように」と熱心に学んできた。

強い思いと努力が実を結び、甲子園への道が開けた。昨秋の関東大会で優勝した際に大誠さんに報告すると、「俺の分まで頑張って来い」と激励された。

憧れの舞台は、3月18日に開幕する。甲子園でも記録員としてベンチ入りする予定だ。マネジャーとしてやりがいを感じるのは「勝ってスタンドにあいさつする瞬間」。「勝って校歌を歌って、アルプスへあいさつに行きたい」と、聖地のスタンドを見上げる日を待ち望む。

秋季関東高校野球大会決勝で、本塁打を放った仲間を笑顔で迎える田中杏璃さん=2021年11月7日、ジェイコム土浦