東京都の新年度予算案 主要な施策「7つの柱」とは

東京都は1月28日に新年度予算案を発表しました。総額は過去最大の7兆8010億円となることが明らかになりました。

都が発表した新年度(2022年度)予算案は7兆8010億円で、今年度(2021年度)予算から3760億円増えて過去最大の規模となりました。災害に強い街づくりとして、新たに目黒川に調節池を整備するほか、各企業に防災リーダーとなる従業員を設け、災害が発生した際に従業員の安全が確保できるよう進めていく"防災リーダーの創設”を掲げました。これらの防災の取り組みに2927億円を割いています。

また、多摩地域と島しょ部の振興にも力を入れる方針です。小池知事は「多摩地域のさらなる活性化を図るということで、多摩モノレールの小児運賃を割引する支援を行う」と述べました。都の組織改変も発表され、政策を子ども目線で進めるための「子供政策連携室」を新設するとともに、新たに「生活文化スポーツ局」をつくり東京大会のレガシーを発展させる方針です。

都の新年度予算案の一般会計の総額が過去最大となった大きな理由が、都税収入の増加です。歳入のうち5兆6308億円を占める都税収入ですが、今年度と比べて5858億円増えています。都によると、コロナ禍でテレワークなどデジタル需要が増加しIT関連が好調になったことや、海外の景気回復で製造業も売り上げが伸びたこと、また旅行ができない中で近場の娯楽サービスが好調だったことなどが収入増の理由としています。このコロナ禍でも業種によってはチャンスとなったことが都の予算案からも分かります。

過去最大の予算をどんな事業に使うでしょうか。都は主要な施策として「7つの柱」を挙げています。その中でも特に予算を割いている3つを紹介します。1つ目の「世界一安全・安心な都市」は、コロナ対策のほか、無電柱化や帰宅困難者対策など危機管理対策の強化のための予算です。2つ目の「世界から選ばれる金融・経済・文化都市」は、脱炭素化ベンチャー企業を支援するファンドの立ち上げや、東京2020大会の記念事業などを行い、経済や文化の面で世界から選ばれる都市になることを目指します。3つ目の「子供の笑顔があふれる都市」では、高校の1人1台端末導入や家事支援用品の購入支援などを行います。

その他にも「共生社会の実現」や「スマート東京の実現」など、小池知事がこれまで発信してきた東京の施策が挙げられています。小池知事が力を入れると述べていた「多摩地域・島しょ部の振興」では、多摩モノレールの子ども運賃が割引となる「たまモノ子育て応援事業」や、多摩地域にVRを活用した体験型の英語学習施設を開設するとしています。島しょ部では、電柱のない島の実現に向け、島を選定し無電柱化を先行実施したり、遠隔診療などを行うための5Gインフラの整備などを行うなど、23区内以外でもきめ細かい環境整備を行うとしています。

いろいろな施策や事業が発表されましたが、私たちが納めた税金がどう使われていくのか、今後も注目していきたいです。

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