「藤井旋風」大田原に 県内初対局、記念扇子にファンが行列

扇子を購入し、笑顔を浮かべるファン=29日午前9時、大田原市黒羽田町

 大田原市黒羽向町のホテル花月で29日始まった将棋の第71期ALSOK杯王将戦7番勝負第3局は、渡辺明(わたなべあきら)王将(37)に挑む藤井聡太(ふじいそうた)四冠(19)にとっては栃木県での初対局となった。その初手に立ち会った津久井富雄(つくいとみお)市長は「県内に響く大きな一歩」と感激。市観光協会の記念扇子販売には早朝から列ができ、同ホテル前では王将戦の看板を背に記念写真を撮る人が相次ぐほどの「藤井人気」となった。

 午前9時すぎ、対局室から出てきた津久井市長は「緊張した。一手の響きは、県内に響く大きな一歩だった。将棋界の新たな世界の幕開けの一手のような気がした」と感慨深げだった。

 藤井四冠人気は高く、市観光協会事務所がある大田原市黒羽田町の黒羽庁舎前では、午前9時の記念扇子販売開始1時間半前にはファンら30人が行列。整理券を用意し、同8時に全80本分の券配布が終わった。

 午前4時に来て先頭に並んだ大田原市、医師増山茂樹(ますやましげき)さん(69)は「長男が藤井四冠出身の愛知の病院に勤めており、手に入れてほしいと頼まれた。無事購入できて良かった」と安堵(あんど)した。一方、同8時すぎに訪れた大田原市、60代女性は「買えずに残念。人気がすごい」と話す。

 同協会には同9時以降、問い合わせが数十件以上相次ぎ、八木沢政和(やぎさわまさかず)事務局長(67)は「予想をはるかに超えた。注目度の高さを目の当たりにした」と驚いた。

 新型コロナウイルス感染急拡大で28日の前夜祭、30日の大盤解説会は中止となったが、同ホテル前では記念撮影に訪れる県内外のファンの姿も目立った。

 那須塩原市、アルバイト小倉一真(おぐらかずま)さん(26)は「前夜祭も大盤解説会も申し込んでいた。楽しみにしていたが、中止になってしまい残念」と話し、父政嘉(まさよし)さん(57)と看板や同ホテルの写真を撮っていた。

扇子の販売が始まり、整理券を手に購入するファン=29日午前9時、大田原市黒羽田町

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