【MLB】76億円の投資は失敗だった? 球界ワースト打率.198、通算193発男が見た悪夢

レッズのエウヘニオ・スアレス【写真:Getty Images】

「俺は打率2割の男ではない」と自信も… 打率.202からさらに悪化

通算193発を誇るレッズのエウヘニオ・スアレス内野手の不振がチームを悩ませている。2018年3月にレッズと7年6600万ドル(約76億円)で契約延長した30歳の大砲は、当時プレーオフ進出を逃し続けた低迷期におけるチームの希望の1つだった。未来を担うはずだった男に何が起こっているのだろうか。

スアレスは持ち前のパワーを生かした豪快な打撃で、18年は打率.283、34本塁打104打点で長打率.526、19年は球界ワーストの189三振を喫したものの打率.271、49本塁打103打点で長打率.572を記録。2019年までの通算打率は.265だった。しかし、2020年に落とし穴が待っていた。57試合出場で15本塁打38打点と長打力は健在だったが、198打数40安打、打率.202と精彩を欠いた。

巻き返しを図ったスアレスは、21年2月のキャンプ時の取材で「俺は打率2割の男ではない。もっと良い選手。今年は(自己最多を塗り替える)50本塁打を目指す」と語り、オフには食生活を改善。15ポンド(約6.8キロ)減量するなど復活への自信を覗かせていた。

ところが打率.209だった4月16日(日本時間17日)以降は1割台に沈み、その後は2割に復帰することなくシーズンを終えた。31本塁打79打点と大砲らしさは変わらず示したが、球界ワーストの打率.198と前年を更に下回る屈辱の成績だった。

49本塁打を放った2019年、既に不振の予兆は表れていた

20年を境に一変したスアレスの打撃。その“脆さ”について米最大の移籍情報サイト「MLBトレード・ルーマーズ」は、49本塁打を放った19年から既に「危険信号が表れていた」と指摘した。キャリア最初の5年間の三振率は23.8%だったのに対し、19年は28.5%と急上昇。直近2年間でも数字は上昇し続け、昨季は29.8%だった。

また記事ではFB%(フライボール割合)が18年から急増していることに触れ、昨年は35.7%にまで膨れ上がったことでより長打を狙う打撃スタイルが目立つようになったとしている。2020年1月に受けた肩の手術についても言及しているが、成績不振との因果関係については「根本的な原因とは考えられない」と論じた。

スアレスが不調に苦しむ一方で、チームは今オフにウェイド・マイリー投手らを放出し、年俸削減の動きを見せている。記事では「スアレスの向こう3年間の年俸1100万ドルはレッズが恐らく手元に残したくない出費であるのは明白。低調だった2021年の直後に欲しがる球団を見つけるのは簡単ではない」とし、頭の痛い問題になる可能性を指摘した。

万全の状態で昨シーズンを迎えるも、負のサイクルから抜け出せられなかったスアレス。チームが行った76億円の投資が間違っていないことを証明するチャンスは、年齢的にもまだ残されているはずだ。(Full-Count編集部)

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