熾烈(しれつ)な外野手のレギュラー争いへ準備は万全だ。横浜DeNAの楠本泰史(26)は迫る春季キャンプに向けて、「今までの自主トレーニングの中で一番振り込んできた。競争する選手が多いので、やっぱり負けたくない気持ちが強い」とよどみなく答えた。
昨季は代打の切り札として自己最多の76試合に出場。打率2割5分4厘をマークしたが、本人は満たされていなかった。「大した結果ではない。去年みたいにファームで過ごす時間がないように、1年間1軍で戦い抜きたい」。5年目の新シーズンは目の色が違う。
2千安打を目指す巨人・中島の下で、年明けからバットを振り込んだ。伊藤光に紹介された大ベテランの練習量に圧倒されたといい、「いろんなメニューの細かいところを意識しながら、とりあえず振って振って振りまくった」。
早朝からの打撃練習は昼食抜きで、午後2時半を過ぎたことも。打席に入る前の準備や不調からの脱却法などの助言ももらった。巧みなバットコントロールが武器の左打者にとって実りある約2週間になった。
今シーズンは日本ハムから実績のある大田泰示も加入した。仲間から「タイシ」と呼ばれてきた楠本にとって、定位置争いとともに愛称でも気になる存在だ。
「ロッカールームで『タイシ』と呼ばれてどっちも反応することが多々あるんで、本当にどうしたら」と笑いつつ、「キャンプ、シーズン中もそういうシーンがあると思うので見ていて下さい」。1軍で活躍する姿しか見据えていない。