「後遺症患者は感染者と違って支援が不十分。療養が終わればそこから先は自己責任なのでしょうか…」。新型コロナウイルスの感染症の後遺症に悩まされる患者からの投稿が「追う! マイ・カナガワ」取材班に寄せられた。後遺症に苦しむ患者と、対応を模索する現場を追った。
投稿者が心配していた治療費はどうなのか。
各自治体はホームページなどで「後遺症治療は自己負担」と呼び掛けている。医師らによる団体も公費負担を厚生労働省などに求めているが、同省担当者は「公費負担の対象はあくまで他人に感染させる恐れがある状態の人に限定されている。現行法では入院や療養から明けた後遺症患者は対象外」と説明。感染者と後遺症患者は同じ「コロナによる疾患」であっても、治療費の負担を巡っては明確に分け隔てられていた。
ただ、市中感染から2年が経過し、後遺症患者に目が向けられるようにはなってきている。後遺症の定義すらない状態が2年近く続いていたが、同省は昨年12月、医師や専門家らが症例を検証して後遺症の全体像が浮き彫りとなったとして、医療関係者向けの後遺症に関する「手引き」を初めて公表した。
かかりつけ医による対症療法が基本で「呼吸器症状が3~6カ月以上、味覚・嗅覚障害が2週間以上続く場合は、それぞれ専門医に紹介を」と呼び掛ける一方で、「国内における後遺症の定義は定まっていない」「不明な点が多く(手引きの)改訂を継続していく」とも記載している。同省担当者も「諸外国と比べればまだ研究は進んでいない」と認める。
後遺症患者の中には気力を奪われ、先の見えない不安に襲われたり本来の自分が戻らず自信を失ったりした人、外来に通院していない人もいるだろう。後遺症を発症した人も「コロナと闘う患者」であり、周囲の理解や国・行政のサポートが不可欠だ。
◆取材班から
コロナ後遺症に悩む患者が増える中で、支援体制がまだまだ不十分であることが分かってきた。取材は今後も継続します。後遺症に関する情報をお寄せください。