連覇に届かず2位のWTRアキュラ「キャデラックに匹敵する速さはなかった」/デイトナ24時間

 2021年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権デイトナ24時間レースを制し、2022年開幕戦の同レースでも連覇を狙っていたウェイン・テイラー・レーシング(WTR)の10号車アキュラARX-05陣営。1月29〜30日にアメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われた決勝レースでは最終盤まで優勝争いに踏みとどまったものの、同じくアキュラユーザーのマイヤー・シャンク・レーシング60号車に惜敗する形となった。

 予選レースを制し、ポールポジションからのWTR10号車の決勝スタートを担当したフィリペ・アルバカーキは、路面温度が非常に低いにもかかわらず、彼の最初のスティントを通じてマシンをトップ5に保ち、残り22時間でウィル・スティーブンスにマシンを託した。

 スティーブンスはリードを奪うが、避けられない接触によりタイヤに傷を負ってしまう。これにより2周おくれとなるものの、リッキー・テイラーの力走と数々のコーションのおかげで、デイトナビーチに夜が訪れる頃にはリードラップに回復してきた。

 アレクサンダー・ロッシ、アルバカーキ、スティーブンスがローテーションし、深夜と早朝をドライブ。順位は1〜3番手の間で変動する。夜の間、気温は氷点下近くにまで冷え込んだが、DPiクラスの熱いバトルを“冷やす”には充分ではなかった。朝からは再びテイラーが10号車に乗り込んだ。

夜、ピットで戦況を見守るWTR10号車のチームクルー

 その後、陽が高くなるなかでロッシ、アルバカーキがステアリングを握り、3台に絞られたトップ争いへ。最後はまたテイラーが、前年のチームメイトである60号車アキュラのエリオ・カストロネベスとの最後のバトルに突入していった。

 しかしテイラーはカストロネベスに及ばず、2位でフィニッシュ。アキュラ勢のワン・ツー・フィニッシュに貢献する形とはなったが、WTRとしてのデイトナ2連覇は果たせなかった。

「我々のチーム全員に、大きな感謝を捧げる。ドライバーたちは皆、素晴らしい仕事をした」とチームオーナーのウェイン・テイラーはコメントしている。

「もちろん勝ちたかったが、自分たちが勝てないのなら他のアキュラに勝って欲しかった。レースや人とのコミュニケーションの仕方を理解している素晴らしいマニュファクチャラーの一員であることを、誇りに思う」

 ドライバーのリッキー・テイラーは、「アキュラにとって、素晴らしい日となった」と述べている。

「HPDは我々のために非常に多くの仕事をしてくれたし、それは信頼性という形で表れていると思う。信頼性は素晴らしく、エンジンとクルマの性能は完璧だった。チームは仕事を見事に遂行したが、最後にエリオをつかまえるには足りなかった」

「いまはがっかりしているけど、明日からは(次戦)セブリングに向けて取り組んでいく。今年は本当にいいスタートが切れたと思う」

 デイトナをDPiで2度、GTマシンで1度制した経験を持つアルバカーキは、次のようにコメントしている。

「何と言えばいいのか……これはWTR、コニカミノルタ、アキュラ全員の素晴らしい仕事の結果だ。ワン・ツー・フィニッシュを果たしたアキュラを祝福する」

「正直に言えば、僕らにはキャデラックに匹敵するペースがないと思っていたし、誰もアキュラのワン・ツーは予期していなかったと思う。だが、ふたを開けてみたらこういう結果になった」

「勝利が近くにあれば、つかみたいと思うものだ。長いレースだったので、みんな疲れ切っている。勝ったときの感情は強いものだが、負けたときのそれは本当に激しいものとなる。とりわけ僕らは勝利に近いところにいたから、悲しい」

「僕らはチャンピオンシップを戦い続ける。いま、僕らの焦点は次戦のセブリングだ」

デイトナ・インターナショナル・スピードウェイを走るWTRのアキュラARX-05

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