神奈川スポーツ監督鼎談(上)DeNA三浦氏「データは参考になるけど、全てではない」

(左から)2年目の指揮を執る横浜DeNA・三浦監督、川崎ブレイブサンダースを率いる佐藤監督、4年ぶりに横浜BCを率いる青木監督

 プロ野球のキャンプインやバスケットボール男子Bリーグ1部(B1)の後半戦を控え、県内で指揮を執る3監督がオンラインで集った。横浜DeNAの三浦大輔(48)、川崎ブレイブサンダースの佐藤賢次(42)、横浜ビー・コルセアーズの青木勇人(48)の各監督がコーチング論やチームマネジメント、新型コロナウイルスで揺れるスポーツ界について余すことなく語った。

◆昨シーズンも会場に

 ─三浦監督と佐藤監督は奈良出身、三浦監督と青木監督は同学年。お互いのイメージは。

 佐藤 三浦監督は「ハマの番長」のイメージが強すぎて、奈良のイメージがないですね。

 青木 藤沢育ちなので小さい頃から野球と言えば横浜。三浦監督の現役時代は勝ちたい思いが伝わったし、最後まで横浜一筋を貫いたことに男のロマンを感じていた。

 三浦 もちろん横浜にはなじみがあるし、試合もキャスター時代に見に行きました。川崎は同じDeNAグループ。昨シーズンも会場に行かせてもらった。

◆自分で考える力を

 ─競技は違うが、それぞれ聞きたいことは。

 佐藤 三浦監督は現役時代に猛練習をされていたと新聞記事で読んだ。感覚が違う今の選手にどう求めていますか。

 三浦 今の選手に自分がやっていたメニューが合うか疑問がある。選択肢の一つとして捉えてもらえるように選手やコーチとは話をしている。

 佐藤 今の時代はデータや分析が進んで、答えを全部求めてくることが多いと感じる。もうちょっと自分で考える力を育てたいと思っているが、野球ではその辺りは。

 三浦 データはもちろん参考になるけど、それが全てではない。グラウンドに立てば、実際は生身の人間が戦っている。感性を磨かないといけない。数字だけにとらわれないようにするためにも対話を重視している。

 青木 どうやって人が動くようになるか。常に難しいところ。選手が試合中にリスクを取ってうまくいけば成長につながる。佐藤コーチが言うように近年、答えを求める選手が多い印象はある。ジェネレーションギャップを埋めるためにも、歩み寄ることが一つだし、責任はこちらが取るという話もしている。

◆会話で解決策発見

 ─褒められるよりも怒られることが多かった世代だと思うが、コーチングでの考えは。

 佐藤 気持ちよくプレーしてもらうために、8割は褒めて、時折めちゃくちゃ怒るくらい。気は使っていますね。

 青木 もともと感情的ではないので、会話して解決策を見つけること。うまく怒れないので、どうやって勝たせるか、常に勉強しないといけないと考えている。

 三浦 野球はミスが出るスポーツ。失敗が前提という中で、怠慢プレーや気持ちが散漫な選手にはまずは話す。それでも直らなければ2軍に落ちてもらう。現役時代、怒られることよりも1軍から外されることが一番厳しかった。自分のポジションが常に狙われているという競争意識を求めている。

 佐藤 1軍しかない今のバスケ界にはない厳しさ。これから発展するためのバスケ界の環境に必要なものかもしれない。

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