強豪ターゲット・コンペティションが3台体制で復帰、ヒュンダイは地元ドイツでの活動を終了へ/TCRヨーロッパ

 TCR規定シリーズの欧州地域最高峰に位置付けられるTCRヨーロッパ・シリーズの2022年シーズンに向け、ヒュンダイ陣営のトップカスタマーであるイタリアの強豪ターゲット・コンペティションが2年ぶり3台体制での復帰を表明。2019年にジョシュ・ファイルズとともに獲得して以来のドライバーズタイトル奪還に向け、チーム拡充の決断を下している。

 また、ヒュンダイ・モータースポーツのお膝元でもあるTCRドイツでは、チーム・エングストラーの陣営離脱に伴い、ファクトリーサポートの終了をアナウンス。引き続き「カスタマープログラムの支援は続けていく」としている。

 既報のとおり、過去3年間でマックス・ヘッセ、アンティ・ブリ、そしてルカ・エンストラーを擁し、TCRドイツでタイトル連覇を達成してきたチーム・エングストラーが、同時に推進しているWTCR世界ツーリングカー・カップでのプログラム同様ホンダへのスイッチを表明したことを受け、ヒュンダイ・モータースポーツは本拠地となるドイツ・アルツェナウからのTCRドイツに対するファクトリー支援を終了する決定を下した。

「これまでのコラボレーション成功と、エングストラーのチーム全体に感謝している」と語るのは、ヒュンダイ・モーター・ドイチェランドGmbHのマネージングディレクターを務めるユルゲン・ケラー。

「過去4年間、ADAC TCRジャーマニーでともに戦ったチームは、3度のドライバーズタイトルと2回のチームタイトル獲得で、ヒュンダイi30 N TCRのパフォーマンスを印象的に証明してきた。その彼らが、今後の取り組みでも多くの成功を収めることを願っている」

2022年はWTCR、TCRドイツでホンダへのスイッチを表明したチーム・エングストラー
ターゲット・コンペティションは、昨季シーズン中盤までアンドレアスとジェシカのバックマン兄妹を擁してWTCRに参戦していた
「現時点ではFIA WTCRへのフルシーズン参戦の予定はない」とチームマネージャーのアンドレアス・ガマラー

■TCRオーストラリア王者HMOも新カラーリングの体制を発表

 その一方、引き続きヒュンダイ陣営のトップチームとして活動予定のターゲット・コンペティションは、昨季のシーズン中盤までアンドレアスとジェシカのバックマン兄妹を擁してWTCRに参戦し、地元TCRイタリアでは前出のブリを起用し、2021年のシリーズタイトルを獲得している。

「我々の計画では、最低3台のエントリーでTCRヨーロッパ・シリーズに復帰する。文字どおりの“ターゲット”は、タイトルを取り戻すための体制を構築することだ」と語るのは、チームマネージャーのアンドレアス・ガマラー。

「現時点ではFIA WTCRへのフルシーズン参戦の予定はない。それでも、チャンピオンシップの可能性を信じており、非常にハイレベルな競争の場に挑むのが大好きな組織だから、ワイルドカード枠でのエントリーを検討しているよ」

 かつてはFK2型のホンダ・シビック・タイプR TCRを走らせていたターゲット・コンペティションは、この2022年にヒュンダイとの5年目のシーズンを迎え、新シーズンでもエラントラN TCRの投入を予定。チームによれば、2022年シーズンのドライバー体制も「すぐに」明らかにされるという。

「我々はパートナーを組んでから現在5年目を迎えており、一緒にいくつかの重要な成功を収めた。もちろん新たなシーズンでも、ヒュンダイ・モータースポーツとエラントラN TCRでの勝負を継続するつもりだ」

 また南半球オーストラリア大陸では、同じくヒュンダイ陣営でTCRオーストラリア・シリーズ初年度に、ウィル・ブラウンを擁して初代チャンピオンに輝いたHMOカスタマー・レーシングが新体制をアナウンス。

 使用車種はヒュンダイi30 N TCRながらこちらも3台体制を敷き、2021年のシーズンフィナーレとなったバサーストで導入の新パートナーシップ“N”パフォーマンスブランドを特徴とした新カラーリングを採用。ネイサン・マルコム、ジョシュ・バカン、そしてルーキーのベイリー・スウィーニーを起用する。

チームによれば、2022年シーズンのドライバー体制も「すぐに」明らかにされるという
2022年のTCRドイツで3台体制を敷くROJAモータースポーツなど「カスタマーサポートは継続する」とヒュンダイ・モータースポーツ
TCRオーストラリア参戦のHMOカスタマー・レーシングもヒュンダイi30 N TCRの3台体制に

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