諫早の白石さん「足の間」が最優秀作 九州芸術祭文学賞 女性2人の共同生活描く

白石昇さん

 九州文化協会は1月31日、第52回九州芸術祭文学賞の最優秀作に、諫早市多良見町の白石昇さん(52)の小説「足の間」が選ばれたと発表した。本県からの受賞は5人目。
 白石さんは同町出身。タイ語の本を翻訳する仕事などの傍ら、小説の執筆活動をしている。1999年に同賞の地区優秀作に選ばれたことがある。
 「足の間」は阪神大震災で被災した過去を持つ女性が、日本に出稼ぎに来た外国人女性とキャバクラで一緒に働き、共同生活を送る物語。被災した女性の目線を通じ、さまざまな人間模様が描かれる。
 九州・沖縄から269点の応募があり、昨年11月に地区優秀作11編を選出。1月27日に作家の五木寛之さん、村田喜代子さんらによる最終選考が行われた。白石さんの作品は「単なる風俗小説ではなく、面白さの中に品の良さを感じる」(五木さん)などと評価された。
 白石さんは受賞に「たくさんの人に作品に接してもらう機会が増えると思うので、とてもうれしい」と喜びを語った。
 表彰式は3月19日、熊本市の「くまもと県民交流館パレア」で。賞金30万円と青木秀(しげる)賞(20万円)が贈られる。作品は文芸誌「文学界」4月号に掲載される。


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