長崎県が「半導体ネットワーク」設立へ 産学官共同で人材育成、確保

 長崎県は31日、成長著しい本県の半導体産業の振興と集積に向けて、県と大学、半導体関連企業による共同組織「ながさき半導体ネットワーク(仮称)」を今月10日に設立すると発表した。県によると、半導体関連の産学官組織は県内初。企業が求める人材を大学などと連携して育成し、地元就職を支援していく。
 世界的な半導体不足に伴う国内での安定調達が課題とされる中、世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)がソニーグループと共同で熊本県に半導体工場を建設する。国は半導体関連産業に携わる人材を九州で育てるため、産学官の共同組織を発足させる計画。
 本県では、スマートフォン向け半導体製造のソニーセミコンダクタマニュファクチャリングが諫早市で、半導体用シリコンウエハー製造の「SUMCO TECHXIV」が大村市で、それぞれ生産能力を増強する設備投資を進めている。
 県によると、本県の半導体製造業の製造品出荷額は2019年度、約3003億円で九州2位。製造業における半導体関連産業の比率は19年度、17%で年々、拡大している。
 県は、国の人材育成共同組織に参画し情報交換を進める一方で、県独自の同ネットワークの設立を決めた。県や関係市町、長崎大など3大学、佐世保工業高等専門学校、半導体関連企業が加わる。ソニーセミコンダクタマニュファクチャリングも県の働き掛けで、参加を前向きに検討している。
 同ネットワークは、参画する団体・企業の意見を把握し、情報共有を密にしながら半導体関連人材の育成、確保を進める方針。企業誘致や規模拡大に必要な工業用水などの立地インフラ整備、サプライチェーン(供給網)構築に向けた企業間連携にも取り組む。


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