「ガラッと変わる」 西武の新選手会長・高橋が明かす投球フォーム改造の理由

西武・高橋光成【写真:荒川祐史】

コロナ禍で11選手がキャンプを当面回避、A班は36人→30人でスタート

新型コロナウイルスの感染者が続出している西武だが、キーマンが無事にキャンプインを迎えることは不幸中の幸いかもしれない。自身初の開幕投手を務めた昨年はチームトップで自己最多の11勝(9敗)を挙げ、シーズンオフには選手会長に就任した高橋光成投手だ。42年ぶりの最下位に終わった昨季から、巻き返しを期すチームを牽引する。

西武は感染が判明した山川、外崎、平良、金子ら7選手、濃厚接触の疑いがある4選手の計11人が当面キャンプに参加せず、埼玉県所沢市の球団施設で調整することになった。宮崎県日南市南郷町でキャンプを張るA班(1軍)のメンバーは、当初の36人から30人に減ってのスタートとなった。辻発彦監督は「果たして2試合予定していた紅白戦ができるかどうか…」と表情を曇らせる。

そんな中でも高橋の表情は明るい。キャンプイン前日の1月31日には「このオフは“ロスのない投球フォームづくり”に時間を割いてきました。まだ完成はしていませんが、去年とはガラッと違うフォームになると思う。ファンの皆さんにも、どうなっていくのだろうと楽しみに見てもらえたらいいですね」と自信ありげに笑った。

昨季は11勝9敗、防御率3.78。開幕5連勝の好スタートを切ったものの、6月4日のヤクルト戦(神宮)で初黒星を喫すると、そこから3連敗。9月28日のソフトバンク戦(PayPayドーム)以降はシーズン終了まで4連敗と、後半にやや失速した。

榎原神社で無事息災祈願を行った西武・高橋光成【写真:球団提供】

選手会長の重責に「練習に取り組む姿勢が大事」

その反省から「1年間を通して効率よく、いいボールを投げるために」余計な動きを省いた“省エネフォーム”に改造中なのだ。昨年に続いて、自費購入した「ラプソード」(投球時の腕の角度、ボールの変化量、回転数、回転軸などを測定できる機器)をキャンプに持ち込み、「自分を客観的に見ながら進めていきたい」と言う。

キャンプイン直後の2月3日には25歳となる。チーム防御率は昨年まで4年連続リーグワーストだが、同学年で昨年10勝の松本、2歳下で同8勝の今井と「同世代の3人で投手陣を引っ張って、なんとかしていこう」と語り合っている。さらに前任者の森から指名を受け、選手会長にも就任した。「そこはあまり期待してほしくないのが本音」という言葉とは裏腹に、「言葉で何かを言うより、率先して練習に取り組む姿勢が大事だと思う」と自覚は十分だ。

「キャンプの練習はきついですが、きつい時にどれだけ自分を追い込めるかだと思っています。“一線”を越えたい」と鼻息が荒い。コロナ対策については「シンプルに手洗いとうがい。それに食事をバランスよく取るように心がけている」と語る。ニューリーダーへの脱皮が見込まれる今年、どこか自信と余裕を感じさせる。ここまでいい流れできているだけに、ストップがかかったらもったいない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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