バブルで過ごす初めての旧正月  北京五輪、学生ボランティアもわくわく

「招財進宝」と書かれた紙を手にテレビ局の取材を受けるボランティアの大学生、董静格さん=1月31日

 北京冬季五輪は、新型コロナウイルス感染対策として外部との接触を完全に遮断する「バブル」下で開催される。報道陣の取材拠点となるメインメディアセンター(MMC)もバブルの中。そこで働くボランティアも外には出られない。2月1日は春節(旧正月)。「家族と離れて新年を迎えるのは生まれて初めて」と話す学生ボランティアらは、特別な新年を生き生きと過ごしている。(共同通信=伊藤陸)

 中国で旧暦の大みそかに当たる1月31日、MMCには正月飾りを作る特設スペースが設置され、ボランティアや記者らが列を成した。中国では「福」の字を家に飾り、幸福の到来を祈る風習がある。赤い紙に筆書きした女子学生は「宿舎の壁に張りたい」と笑顔だった。  複数の学生によると、ボランティアは記者らと同様、自由に外出できず、ホテルなどに宿泊している。毎日の検査で陰性を証明する必要もあり、「バブルの住人」だ。

 「生まれて初めて家族と離れて新年を迎える」と話すのは大学4年董静格さん(21)。北京の大学でアナウンサーの勉強をしており、五輪放送サービス(OBS)でボランティアとして働く。特設スペースでは「招財進宝」という四字熟語を組み合わせた難しい漢字を書き、テレビ局の取材を受けていた。

MMC内にある水ギョーザの自動調理機器

 実家も北京市という董さんは、2008年北京五輪で複数の金メダルを獲得した体操競技や、街中で出会った学生ボランティアの楽しそうな様子を覚えているという。自分も五輪に協力したいと応募した。「両親に会えないのは少し寂しいけれど、オンラインで新年のあいさつするをつもり」

 31日夜は、有志の学生が歌ったり楽器を演奏したりするイベントがオンラインで放送。記者らの総合案内を担当する山東省出身の大学4年の女性(21)は「コロナで制限はあるけれど、毎日が新鮮」と楽しんでいた。

 今回の五輪を、自国の科学技術を世界にアピールする場とも捉えている中国。自走式のごみ箱や、全自動で調理から客席への運搬までするハイテク機器がインターネット上で連日、話題になっている。用紙をセットするだけで「福」の字を自動で筆書きする機械も登場。海外メディアの記者らが、声を上げながら見守った。

MMC内に登場した「福」の字を自動で筆書きする機械

 MMC内には全自動で水ギョーザを提供する機械もある。中国では大みそかにギョーザを食べる習慣があり、注文した湖北省出身の大学院生金洪宇さん(22)は「少し高いけれど、おいしい」と笑顔だった。

 MMCで約1カ月間働くという金さん。コロナ禍が始まり、通っている大学ではオンライン授業を自宅で視聴することが増えたという。それでも「動画は一時停止もできるから復習しやすい」とたくましい。

水ギョーザを注文した金洪宇さん

 「実家に帰れない寂しさはあるが、一生の記念になる大会に参加できるうれしさもある」。特別な年越しをかみしめ、「新年快楽!(よいお年を)」と元気に言った。

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