新型フェアレディZには3連アナログメーターを搭載! 「ターボ回転計」を新たに加えた日産のこだわりとは

今年デビューする新車のなかでも、クルマ好きから特に注目を浴びているのが、日産の新型「フェアレディZ」だ。2020年夏に「プロトタイプ」としておおよそのデザインが公開され、東京オートサロン2022ではついに、日本仕様の市販モデルが披露された。実車を見て分かったことを元に、前回は新型フェアレディZの液晶ディスプレイにスポーツ表示があることを紹介した。今回はアナログメーターについて紹介したい。

日産 新型フェアレディZ Proto Spec

アナログ3連メーターには従来のものとは異なるターボ回転計を搭載

スピードメーターやタコメーターを表示する大型液晶とは対照的に、クラシカルな部分もある。それはフェアレディZにとって伝統的なアイテムともいえる、ダッシュボード上の3連アナログメーターだ。

従来同様ダッシュボードに置かれたアナログ3連メーターだが、メーターに表示される項目は従来モデルとは異なる。これまでは油圧計、電圧計、そしてデジタル時計が並んでいた。

一方、新型フェアレディZではタービンにかかる過給圧を示すブースト計、ターボ回転計、そして電圧計となっている。ターボエンジンに合わせた組み合わせへと変更されたのだ。

新型フェアレディZに搭載される3連メーター

ターボエンジンを搭載したからこそ、ターボ回転計が必要な装備となった

注目はなんといっても、ターボ回転計だろう。おそらく、多くの人にとってはピンとこないのではないだろうか。理由は言うまでもなく、一般的なメーターではないからだ。

そもそも、通常のターボ車はタービンの回転数を正確に把握していない。過給圧をみて、おおよそのタービンの状況を推測しているにすぎないのだ。

しかし、新型フェアレディZに搭載するVR30DDTTエンジンに装着するターボは回転センサーを備え、その回転数を正確に把握している。これは、同じエンジンを搭載する日産 スカイライン400Rも同様である。

タービンの回転数を把握することでどんなメリットがあるのか。それはエンジンのパフォーマンスアップに他ならない。

新型フェアレディZに搭載される3.0リッター V6エンジン

スカイライン400Rを運転すると、その鋭いレスポンスに驚く。昇天しそうになるほど気持ちいい。

一方で高回転におけるパンチの強さもかなりの破壊力。405馬力というパワーはハンパなく、刺激的な加速を楽しませてくれる。興奮できるエンジンだ。

日産 スカイライン400Rの走り

一般論でいえば、低回転のピックアップに優れるターボエンジンは高回転のパンチ力は弱いし、逆に高回転のパンチ力が強いエンジンは低回転が鈍いというのが常識である。

しかしスカイライン400Rや新型フェアレディZに積むVR30DDTTエンジンはどちらも犠牲になっておらず、鋭いレスポンスと高回転におけるハイパワーの両方を味わえるのが凄いのだ。

軽量な小型タービンを用いることで高回転のパワーを引き出す

その秘密はタービンにある。405馬力という高出力にもかかわらず、タービンは大容量ではなく小型のタイプを組みあわせる。慣性重量の軽い小型タービンとすることでアクセル操作に対する“ツキ”やレスポンスを鋭くし、一方でタービンを限界まで使うことで高回転のパワーを引き出す手法がとられているのだ。

そうやって限界までタービンを使うためには、タービンの状況を正確に把握する必要がある。そのために回転センサーを備え、過給圧だと“おおよそ”しか判断できないタービン回転数までしっかり確認しているというわけだ。

タービンのイメージ(画像はマツダ RX-7のもの)

メーターの単位は「10kRPM」。つまり“目盛りの数字×1万回転”となる。目盛りは「5」から「25」まで振られているから、針が指すのは「1分間あたり5万回転から25万回転」ということになる。

こちらも運転していてスポーツカーに乗っているのだということを十分に感じさせてくれるアイテムと言えるだろう。

スポーツカー自体のモデル数が減少している中で、スポーツカー好きを満足させる装備を用意する新型フェアレディZは貴重な存在だ。正式発表を楽しみに待ちたい!

【筆者:工藤 貴宏】

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