開幕戦デイトナ24時間レースを終えたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の第2戦は3月、同じフロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催されるセブリング12時間レースとなる。
だが、同じ週末にはNTTインディカー・シリーズ第2戦テキサスが予定されており、両シリーズに出場予定のドライバーたちと、そのチームを悩ませている。さらにIMSAセブリング戦ではWEC世界耐久選手権の開幕戦『セブリング1000マイル』も併催されるため、一部チームには複雑なドライバー運用が求められることになる。
マイヤー・シャンク・レーシング(MSR)の60号車アキュラARX-05でデイトナを制したエリオ・カストロネベスは、インディカーとIMSAのレースを掛け持ちするドライバーのひとりだ。
IMSA第2戦の決勝は、3月19日土曜日に行われる。一方、テキサス州フォートワースに位置するテキサス・モーター・スピードウェイでのインディカー決勝は、3月20日日曜日開催となっている。
この日程重複のため、IMSAではウェイン・テイラー・レーシングなどいくつかのチームが、ミシュラン・エンデュランス・カップにおけるドライバーラインアップを変更して臨むが、MSRのメンバーはプライベートジェットの助けを借り、両方のイベントに参加する予定だ。
■チームオーナーは「マジか?」
カストロネベス、およびチームの共同オーナーであるマイク・シャンクとジム・マイヤーは、木曜日にはIMSAのプラクティスのためセブリングにいる予定だ。そして金曜は、午後に予定されているインディカーのプラクティス、および重複参戦するドライバー向けの予選セッションのため、テキサスへと飛ぶ。
その後、彼らは土曜日朝10時40分にスタートする12時間レースに間に合うよう、フロリダへと戻る。12時間レースを終えると、今度は東部時間日曜12時30分にスタートするインディカーの375マイルレースのため、再びテキサスへと向かうのだ。
今季、MSRからインディカーにフル参戦する予定の4度のインディ500王者であるカストロネベスは、その任務のための準備ができている、と語っている。
「これまでにやったことがないから、興奮しているよ」と、カストロネベスはデイトナ24時間の決勝前に語った。
「MSRと、この機会に両方のレースを戦うことができる。まず、僕はセブリングで勝ったことがないから、IMSAの側ではそれを達成したい。これらの両レースに出るとなると、非常に忙しくなると思う。それは間違いないよね」
「IMSAで3年半を過ごしてからインディカーに戻ると、ステアリングを握るたびに何かを学ぶ。それが、僕がこの挑戦をする理由だ。それをやってみたいんだ」
「マイクは『マジか?』と言ってたけど、僕は『マイク、僕を(飛行機で)連れて行って、そしてまた連れ戻してくれるんだったら、僕としては問題ない!』と言ったんだ」
「エキサイティングで、楽しいものになるだろう。これまでにはなかったことだ。ダメってことはないだろう? たしかにすごい距離を移動することになるけど、最高なものになると思う。この機会のアドバンテージを活かして、両方のレースでうまくやりたいね」
カストロネベスのほか、この週末に2シリーズを戦うことが現在決定しているのは、インディカーにAJフォイトから、IMSAにはバッサー・サリバンのレクサスRC F GT3で参戦するカイル・カークウッドのみとなっている。
5度のインディカー王者であるスコット・ディクソンは、デイトナ24時間にインディカーと同じチップ・ガナッシから01号車キャデラックDPi-V.Rで参戦したが、チームのスポークスパーソンによれば、セブリング12時間への参戦はまだ決定していない。
デイトナにウェイン・テイラー・レーシングの3人目のドライバーとして出場したアレクサンダー・ロッシ、そしてMSRでカストロネベスとともに優勝したシモン・パジェノーは掛け持ち参戦を行わず、インディカーのみに照準を絞るものと見られている。
■「インディカー優先」のジミー・ジョンソン、IMSA参戦は未定
インディカーにチップ・ガナッシから参戦するジミー・ジョンソンについては、IMSAでアリー・キャデラック48号車を走らせるアクション・エクスプレス・レーシングのチームマネージャー、ゲイリー・ネルソンが「ふたつのシリーズのスケジュールはうまく整っており、我々はジミーを最大限に活用できるものと思っている」とコメントしている。
「彼は金曜には、テキサスに行かなければならない。ロッキー(マイク・ロッケンフェラー)が(金曜に行われるIMSAの)予選を担当し、ジミーは土曜日のウォームアップに間に合うよう、戻ってくる。うまくいくと思っているよ」
さらにMSRと、48号車と並行してウェーレン・エンジニアリングの名で31号車キャデラックも走らせるアクション・エクスプレスはともに、併催されるWECのレースとの間での、ドライバーの共有という複雑さも持ち合わせている。
IMSAでカストロネベスのチームメイトであるオリバー・ジャービスはWECのLMP2クラスにユナイテッド・オートスポーツから参戦が決定しており、同じMSRのトム・ブロンクビストにも、WEC出場の可能性がある。
アクション・エクスプレスでは、31号車の耐久レースにおける追加ドライバーであるマイク・コンウェイ、同じく48号車の小林可夢偉が、トヨタGAZOO Racingのル・マン・ハイパーカーをドライブし、金曜正午から行われるWECの1000マイル(または8時間)レースに出場する。
「ロッキーが我々のベースラインとなる」とネルソンは言う。
「31号車ではコンウェイ、48号車ではジミーと可夢偉が掛け持ちとなる。彼らはいくつかのプラクティスと、デブリーフィング(ミーティング)を欠席することになるだろう」
「だが、彼らはプロフェッショナルだ。心配はしていないよ」
当のジョンソンは「状況は常に変化しているようだ。僕のプライオリティ(優先)は、間違いなくインディカー・プログラムだ」とコメントしている。