現代インターネットの闇に触れる 話題の育成ゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」インディー異例の大ヒット

近年、急激な発達を見せるインターネット。当初はメールを送ったり、ホームページを見るためのツール程度だったものが、ネットゲームが発達し、動画を見れるようになり、今では誰もが気軽に動画を配信したり、配信で収益を得たり、VTuberとして電脳世界で第二の人生を歩むこともできるようになった。

しかしインターネットには、煌びやかな光の部分だけではなく光の届かない闇の部分も多く存在する。そんな深い闇の部分、裏の部分にスポットを当て、SNSを中心に話題沸騰しているゲームが「NEEDY GIRL OVERDOSE」だ。

あめちゃんと超てんちゃん。まさに光と闇だ。

「NEEDY GIRL OVERDOSE」は承認欲求強めでメンタル弱めの美少女「あめちゃん」の恋人「ピ」になって、あめちゃん扮するインターネットに舞い降りた天使「超絶最かわてんしちゃん(通称:超てんちゃん)」をプロデュースして、あめちゃんの無限の承認欲求を満たしつつ、100万人のフォロワー獲得を目標に配信をし、立派な配信者に育て上げる育成ゲーム。

あめちゃんとの同棲生活を送りながら、超てんちゃんを人気配信者にしよう!

この時点でなかなかのパワーワードが並んでいるのだが、ゲームを始めると、更にディープで凄い世界に飛び込む事となる。一定層には見慣れた起動画面、どこかで見たようなイルカみたいなポジションの猫、メールを運んでくるマスコット等、平成中期頃にインターネットに触れていた人は卒倒してしまいそうな演出が盛り沢山。

ゲーム進行は昼と夕方はあめちゃんと親交を深めつつ配信のネタを一緒に探して、夜には発見したネタについて、超てんちゃんとして配信を行ってフォロワーを獲得するという流れだ。

起動画面。皆さんも見慣れた景色なのでは?

しかし、配信でオタクに媚びるとあめちゃんはストレスが溜まり、配信内容によっては病んでしまったりもする。あめちゃんのケアも恋人であるピの役目だ。遊びに連れて行ったりイチャイチャしたり、おくすりを過剰投与したり、出会い系アプリで男遊びをさせてあげたりして、ストレスの無いようにあめちゃんを支えてあげる必要がある。

JINE(作中のLINEみたいなもの)の未読無視さえしなければ、あめちゃんは裏アカウントで盛大に愚痴りながらも、ピの事を想い続けてくれる。ちゃんと既読をつけよう。

あめちゃんの行動のリアルさ、多様過ぎる結末を迎える豊富なエンディング、ネット社会に触れた人なら何かしら反応したくなる凝った演出や表現に、中毒性のあるBGM、主題歌、美少女ゲーム界の歌姫「KOTOKO」の起用……。インディーズゲームとは思えないクオリティの高さにSNSを中心に話題騒然の「NEEDY GIRL OVERDOSE」。

本作を製作したインディーゲームサークル「WSS playground」にお話を聞いた。

橋本:この作品の着想に至ったキッカケをお教えください

WSS playground(以下、WSS):美少女ゲーム文化とインターネットが大好きだったので、その2つを組み合わせた作品にしようというのがはじまりでした。あとは、そこに最もかわいいと思うものを散りばめていきました。

橋本:なるほど、確かに全体がかわいいで溢れているゲームですしね。では、前評判も高く、steamで「圧倒的に好評」となっていますが、発売後の反響はいかがですか?

WSS:連日感想がSNSに流れていて、実況プレイもしていただいています。正直に行って予想を大きく上回る反響に我々も驚いています。

橋本:予想を上回る反響ですか!実際にプレイして評判になるのも納得だと思いました。このゲームには多くのメッセージがあると思いますが、一番伝えたかった事はなんでしょうか?

WSS:これはゲームから各々で読み取ってもらいたいです。インターネットがいろいろな面を持つのと同様、我々も様々な、ある意味では相反するようなことも込めていると思うからです。

橋本:感じるモノは人それぞれと言う事ですね。ところで、リアル過ぎると話題になっていますが、もしや誰かの体験談だったりするのでしょうか?私もピの様な経験が…。

WSS:シナリオ・企画のにゃるらの著書に「承認欲求女子図鑑」があるのですが、まさにそのようなヒアリングや彼のインターネット経験が総体となって生まれたものだと思います。

うっかりおくすりを飲みすぎちゃったあめちゃん

橋本:なるほど、だからこそ表現出来たリアリティなんですね。今後、超てんちゃんが本当に配信者としてデビュー…なんて事はあったりするのでしょうか?

WSS:そうなったらとてもおもしろいとは思いますが、これは正直わからないですね!

橋本:最後に、今後の展望についてお聞かせください。

WSS:自分たちも欲しいので、なにかグッズとかを作りたいな…とは思っています。

LOVEスタンプを「もっと」って言うから送ったらこの仕打ち。

◇ ◇
「NEEDY GIRL OVERDOSE」はSteamでの発売後1週間で10万本を突破する、インディーゲームとしては異例の大ヒットを記録している。本作は近代のインターネット文化に触れた全ての人の琴線に引っかかるものがあると思う。

もしかしたらあなたのPCの前にもインターネットエンジェルが降臨して「最高か?」と呟いてしまうかも知れないが、その際は、用法・用量を守って、正しくプレイして欲しい。

「NEEDY GIRL OVERDOSE」

プラットフォーム:steam(PC)にて大好評配信中
https://store.steampowered.com/app/1451940/NEEDY_GIRL_OVERDOSE/?l=japanese
価格:1680円(税込)

(よろず~ニュース特約・橋本ダイスケ)

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