排尿に異常をきたす「前立腺肥大症」とは?【たに泌尿器科クリニック】

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 ”夜何度も起きてトイレに行く”、”排尿したのにすっきり感がない”…こんな症状で悩んでいる中高年の男性諸氏。もしかしたら、前立腺肥大症かもしれません。前立腺は加齢とともに肥大しやすくなるため、60歳以上の男性はとくに注意が必要です。放っておくと生活にどんな支障がおきるのか、どのような治療法があるのかなど、あまり人には相談できない尿のお話。近鉄奈良駅から徒歩1分、小西通りにある「たに泌尿器科クリニック」の谷満先生に聞いてきました。

地域の医療を支える「たに泌尿器科クリニック」は、近鉄奈良駅から徒歩1分とアクセスが良いため仕事帰りに通院する人が多いです

――そもそも前立腺とは何ですか?

前立腺は男性にしかない器官で、前立腺液といわれる精液の一部を作り、精液をサラサラにしたり、精子に栄養を与えたりする役割を果たしています。前立腺は膀胱の出口にあって尿道を取り囲むように存在しています。大きさはクルミ大程度です。前立腺肥大症とは、この「前立腺」が肥大して尿道を圧迫し、尿が出にくくなる疾患です。

気さくになんでも相談にのってくれる院長の谷満先生は、日本泌尿器科学界専門医・指導医で医学博士でもあります。

――前立腺が肥大する原因は何ですか?

原因はまだはっきりとは解明されていませんが、一般的に、加齢とともに男性ホルモンのバランスがくずれることや、高血圧、糖尿病、脂質異常など生活習慣病の影響で、前立腺が肥大すると考えられています。

――どんな症状がおきるのでしょうか?

排尿障害といって、「尿の勢いが弱い」、「尿が出始めるまで時間がかかる」、「排尿の途中で尿が途切れる」、「排尿後に尿が残っている感じがする」などの症状がみられます。また、頻尿といって頻繁にトイレに行く症状もよく見られます。これは、尿が出し切れないため、絶えず膀胱に尿が残っているため何回もトイレに行く場合と、過活動膀胱といって膀胱に尿がたまっていないのに尿意を感じて頻回にトイレに行く症状がともなう場合があります。

「たに泌尿器科クリニック」2階入口

――そのような症状が少しでもあれば、すぐに受診した方がいいのでしょうか?

たとえ、このような症状があるからと言って、必ずしも受診に結び付くわけではありません。夜中に2回、3回とトイレに行ってもすぐ眠れるので苦にならない人もいますし、年とともに徐々に尿が出にくくなっているため、こんなものかな、慣れているとどこまで支障に感じるかは個人の受け止め方により異なってきます。たとえ受診して前立腺肥大がみられても排尿障害がない、あるいはあっても症状に支障がなければ必ずしも治療が必要となりわけではありません。しかし、残尿がないかなど、客観的に排尿状況を評価するため一度は受診していただくことをおすすめします。放置すると症状の悪化のみならず、合併症を引き起こす場合もあります。

受付とエントランス

――症状が悪化するとどうなるのでしょうか?また、合併症にはどのようなものがあるのでしょうか?

怖いのは「尿閉」といって、膀胱に尿がパンパンにたまっているのに尿が出せなくて苦しい思いをしながら夜間に救急車で病院に運ばれる方もいらっしゃいます。飲酒や風邪薬の服用が尿閉を引き起こす要因となったりしますので、注意が必要です。合併症としては、絶えず膀胱に尿が残っているため細菌感染をきたしやすくなったり、膀胱内に結石をつくったり、ひどい場合、腎不全になって透析を余儀なくされる場合もあります。

――こわいですね。そうなる前に治療したいものです。クリニックに行くと、どんな検査をされるのでしょうか?

まず尿検査をおこない、血尿の有無、尿路感染の有無などを検査します。次に、超音波検査により、前立腺の大きさ(体積)および残尿量を計測します。

超音波診断装置(エコー)を使って体内の形状などを可視化します。

次の来院時に尿をためてきていただき、尿流量測定検査をおこないます。トイレ型の検査機器に排尿すると、尿の出方がグラフで示され、尿の勢い(1秒間にどれくらいの尿が排出されるか)、排尿量、排尿時間などが自動的に数値化されて表示されます。簡便に排尿障害の有無や程度をスクリーニングすることができます。

尿流量測定装置がついた便器

正常パターン

排尿障害パターン

横軸が排尿時間、縦軸が1秒間の排尿速度を示しており、正常が高い山を描いて30秒以内に排尿終了しているのに対して、排尿障害パターンでは低いだらだらした山で排尿終了まで1分以上かかっています。

前立腺といえば、前立腺がんはグラフに示すように近年、男性がかかるがんの中で1位をしめています。血液検査でPSAという腫瘍マーカーを調べることでスクリーニングをすることができますので、前立腺肥大の検査とあわせてがん検診も受けられることをおすすめします。

日本の男性がん罹患数の将来予測のグラフ
広い待合室は、ソーシャルディスタンスがはかれます。

――治療方法について教えてください。

基本的に薬物療法が主体となります。前立腺肥大症は、完全に治癒することはありませんが、症状を緩和することはできます。よく使用されるのは、前立腺平滑筋を緩め、尿道の圧迫を解除して、尿を通りやすくする薬剤です。また、患者さんと相談して前立腺を小さくする薬剤を処方することもあります。

このような薬物治療を行っても、症状の十分な改善が得られない場合や合併症がみられる場合は手術をすることもあります。

――予防方法などはありますでしょうか?

適度に水分を摂る、アルコールを飲みすぎない、バランスのいい食事をして適度に運動することで生活習慣病の予防につとめることなどが大切かと思います。

――不快な思いをほっておくと生活を損ねますので、我慢をせず気軽に診察を受けた方がいいですね。どうもありがとうございました。

■医院名  たに泌尿器科クリニック

■住  所 奈良市小西町25-1 奈良テラス2F

■アクセス 近鉄奈良駅4番・6番出口から小西さくら通りを南へ徒歩1分

■電話番号 0742-20-6800

■営業時間 【月・火・水・金】9:00~13:00/16:00~19:00

      【土】9:00~12:00(午後はなし)

■休診日 木・日・祝

■駐車場 あり(提携駐車場)

https://tani-man.com/

※この記事は取材当時の情報です。