農業しながら社会人サッカー 和歌山県へ選手の移住始まる

選手寮に住み始めた南紀オレンジサンライズFCの森永純平代表(左)と鴻野佑斗選手(中央)。右は峯上裕樹監督=和歌山県田辺市高雄2丁目で

 和歌山県紀南地方を拠点に「移住」と「農業」を組み合わせた新しい形のサッカークラブを目指している「南紀オレンジサンライズFC」の選手やスタッフが、田辺市内の寮に住み始めた。クラブは15日から本格的に活動を始め、今春開幕する県社会人3部リーグに参入する。チーム力の向上を目指しながら、労働力不足の解消など地域の課題解決に取り組む。

 南紀オレンジサンライズFCは、森永純平代表(33)=大阪府=が、日本一の梅産地である田辺市とみなべ町で特色のあるチームをつくろうと発案した。約2年前から、ツイッターやインスタグラムなどの会員制交流サイト(SNS)でチームの理念を発信し、全国から選手やスタッフを集めた。紀南の企業や農家も回り、協力を呼び掛けた。

 現在、選手20人の加入が決まっている。田辺スポーツパークや上富田スポーツセンターで週に3日程度練習する。同時に、梅加工会社や放課後デイサービス、梅やミカンの農家など約20カ所で働く。

 選手寮は、JR紀伊田辺駅の裏手(田辺市高雄2丁目)にある元旅館。既に森永代表と鴻野佑斗選手(23)が住んでいる。残りの選手もチームが始動するまでに随時引っ越してくるという。近くのゲストハウス跡でも数人が共同生活をする。

 鴻野選手は神奈川県の社会人チームに所属していたが、SNSでサンライズFCを知り「サッカーをしながら地域貢献ができる。農業もしてみたい」と、チームに入って移住することを決めた。

 峯上裕樹監督(26)=大阪府=も、田辺市内に家族で移住した。これまで、クラブチームの指導やサッカー教室の運営に携わっていたといい、サンライズFCの理念に賛同した。「どのサッカークラブもコロナ禍で運営が厳しい。そんな中、選手の働く場が必要なクラブと、若者を求めている地域にとって互いのニーズに合った取り組み。新しいモデルケースになる」と期待する。

 チームの目標は、2年で県1部リーグに上がり、3年以内に天皇杯の本戦に出場すること。強化部長を兼ねる峯上監督は「まちおこしの先に結果が伴えば、地域に与えるインパクトが大きい」と話している。

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