コロナ禍の逆境をスシロー流 “データドリブン経営”で乗り越えていく updataNOW20イベントレポート

毎年恒例のウイングアーク1st主催カンファレンス「ウイングアークフォーラム」。2020年は名称を「updataNOW 20」に刷新し、オンラインイベントとして開催しました。今年は10月12日の前夜祭を皮切りに16日までの会期中、65超のセッションでお送りしました。

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新型コロナウイルス感染症の影響で外食産業が苦境に立つ中、テイクアウト需要への迅速なシフトなどで、回転すし売り上げ日本一の座を守り続ける株式会社FOOD&LIFE COMPANIES(旧:スシローグローバルホールディングス)。同社ではこれまでも、経営層から業務の現場までが一丸となった「データドリブン経営」を実践してきました。今回は、現状と具体的な成果をシェアいただきました。

INDEX

業務のあらゆるシーンに情報システムを導入

「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」をスローガンに、日本の全都道府県に回転すしチェーンを展開する株式会社FOOD&LIFE COMPANIES(旧:スシローグローバルホールディングス|以下、スシロー)。現在の回転すしスシローの店舗数は全国で559店舗に上り、回転すし以外にもテイクアウト専門店や居酒屋などを経営しています。海外へも積極的に進出しており、4つの国・地域で38店舗の回転すし直営店を出店。2021年には、さらに新しい国への出店も計画されています。

情報システム室 室長の坂口豊氏は、「2011年に回転すしの売上業界1位を達成して以来、9年連続で1位を維持しています。毎年売上高を更新しており、今後もこのペースを続けていきたい」と語ります。※数字はすべて2020年9月末時点となります。

株式会社FOOD&LIFE COMPANIES(旧:スシローグローバルホールディングス) 情報システム室 室長 坂口 豊氏

スシローではかねてからシステム活用を積極的に進め、店舗のお客様対応から計数処理などのバックヤード業務に至るまで、さまざまなソリューションを導入してきました。たとえばお客様が使うスマホの公式アプリや、インターネットでお持ち帰り商品のネット注文ができる受注システム。一方では店舗に来店した客がチェックインするための受付システムや、席から食べたいおすしをタッチパネルで注文するシステム。さらにはお会計の際のPOSや、店舗スタッフが使用するハンディシステムと、実にさまざまなソリューションが業務のあちこちで稼働しています。

「さらにキッチンには、店内の状況に合わせてどれだけおすしをレーンに流すかを指示するシステムや、お客様がタッチパネルで注文された商品をキッチンのスタッフに表示するシステムがあります。もちろんバックヤードには勤怠管理システムや、仕入れの受発注システムなども稼動しています」

ひと皿ごとにデータを管理して常に新鮮なすしを提供

スシローの業務システムの中で中心となっているのが、「回転すし総合管理システム」です。これは文字通りすしの種類や鮮度を統合的に扱い、同社の「商売の核」となるものだと坂口氏は語ります。

「来店時のチェックインからタッチパネルでの注文の管理、おすしを流す量を決める供給指示、さらにおすしの鮮度を管理するシステムを総称して『回転すし総合管理システム』と呼んでいます。中でも鮮度管理システムはおすしの鮮度という、もっとも重要な部分を担っています」

鮮度管理システムは、レーンを流れるすしが一定の距離を回ると、レーンから自動で廃棄しています。具体的には、レーンの①~④の箇所にセンサーが設置してあり(下図)、流れてくるすしの皿に取り付けられたICタグの情報をもとに、その皿がいつ回り始めてどのタイミングで廃棄になるかを判断する仕組みです。

ちなみに、その皿が何のすしなのかは二つのデータをもとに判断しています。たとえばレーンに何皿かマグロが流れている場合、その先頭にはマグロの写真を載せた皿があり、この写真にマグロという商品情報の書き込まれたICタグが付けられています。システムはこの「マグロ」と後に続く皿のICタグの二つのデータを合わせて、この一連の皿はマグロのすしだと判断するのです。

「鮮度管理システムは、このデータをもとにそのおすしの皿を監視して、回った距離がある一定の距離を超えた時点でレーンから取り除きます。データにはその皿がいつから流れ始め、売れた場合はいつお客様に取られたか、一皿ごとに全ての情報を取得しており、鮮度管理以外にもさまざまに活用できます」

こうしたデータ管理・活用のノウハウが生きたのが、今回のコロナ禍への対応でした。たとえば「セルフレジ」は、席でスタッフが皿の枚数を数えた後は会計データが自動的に転送され、レジでは店員と接することなく客自身で会計を済ませることができます。この他、テイクアウト需要の急増に対応して設置された「自動土産ロッカー」や、来店客向けの自動案内システムなどは、もともと省人化を目的に導入していましたが、コロナ禍での非接触応対に最適のシステムとして、メディアでも取り上げられています。

システムをネットワークで結び、データ資産の全社共有・活用を実現

スシローのデータドリブン経営を可能にしているのは、業務のさまざまな場所に導入されたシステムをシームレスに結ぶネットワークです。これによって、各システムに散在するデータがクラウド上に集積され、全社で利用できる情報資産となって、業務の状況と課題の見える化や変化に即応した経営判断を可能にしています。

「各システムは、本部から各店舗まですべてをIPVPNで接続。さらにAWS上にある各サーバーをAWS Direct Connectによる専用ネットワークで接続して、あらゆるデータを一元管理できる仕組みを構築しています。ここにはエリアマネージャーなどが社外からモバイル利用できる環境も導入済みで、いつでも、どこからでもセキュアにすべてのデータにアクセスできる基盤が整っています」

またデータをもとに客の行動や店舗の状況を把握するには、「データ連携」の仕組みが不可欠です。この中心となるのは「回転すし総合管理システム」です。客が利用するスマホのアプリデータや、店舗の注文用タッチパネル、POSから発生する「お客様データ」は全て同システムに集約され、そこからクラウド上のデータマートに転送されます。

「さらにWebサイト経由のインターネット注文や、ERPなどの業務基幹システムからもデータが集められ、同じデータマートに蓄積されます。こうしてすべてのデータを一元的に管理した上で、必要に応じてDr.Sum やMotionBoardにデータを抽出し、分析・可視化する仕組みを構築しています」

では実際にこうした仕組みを活用することで、どんなことが見えてくるのでしょう。たとえば毎日の売上分析です。ここでは単に各店舗の売上金額だけでなく、特定の店舗でどのすしがいつ、どのように流れたか。注文や売れた時刻、廃棄のタイミングなどが具体的に確認できます。このため「どの店はいくら売上が上がった/下がった」という結果だけでなく、その背後の原因や課題を詳細に分析して、次の施策に結びつけることが可能なのです。

「こうしたデータは各人で確認するだけでなく、プッシュ型のメール配信で経営層や部長クラスのマネージャーに土日も含め毎日メールで配信されてきます。この結果、管理職全員が最新の数字と業務の動向を常に把握し、課題を共有できるようになっています」

データの多様化と急増に備えた新たな活用の仕組みの構築を目指す

セッション後半では、スシローのBIシステム パートナーであり、Dr.SumやMotionBoardの導入も手がけた株式会社ジール 大阪支社 マネージャー 小谷 太一 氏と坂口氏との対談が行われました。

株式会社ジール 大阪支社 マネージャー 小谷 太一氏

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