イ・ジュンギは、自分の言葉を、自分の考えを持つ俳優だ。どんな作品でも、どんな状況でも、どんな質問でも、明確な自分の考えをもとに言葉を発してくる。インタビューでも、ファンミーティングのようなファンとの交流の場でも、ハッとさせられるような言葉を残し、さらに彼を知りたくなるような魔法をかけていく。これまでのジュンギが発した言葉で、印象的だったもの、イ・ジュンギそのものを表したような言葉を振り返ってみた。
ドラマは、みんなで作るもの。スタッフ共演者への心がけ
その① 現場で大切にしていること
「作品が決まると、スタッフや共演者に声をかけて、飲みに行きます。そうすると、キャラクターを見つけられるし、お互いに話もできるので。
もちろん、台本を読み込み、その人物を研究する作業もありますが、でもまず必要なのは、ひとつの空間で何カ月か一緒に作業をともにする人たちとのつながりだと思うんです。現場で僕をサポートしてくれる人たちだし、彼らから何かを得られるかもしれないので。
現場ではバカみたいに歩き回って、スタッフにもたくさん話しかけますね。最初に台本をもらったら、セリフより先に、出演者とスタッフの名前を覚えることに時間をかけています」
(2009年「イルジメ[一枝梅]」でのインタビューより)
――台本のセリフより先に出演者とスタッフの名前を覚える。このルールは、イ・ジュンギが俳優になったばかりの頃から現在にいたるまで徹底して行っているもの。作品は1人で作るものではない、現場をともにする人たちを何よりも大切にする、という信念が、作品の質を上げているのだろう。どの作品の共演者とも長く付き合っているのは、そのためだろう。
その② 共演者との関係
「(敵対する役を演じる俳優とは、わざと距離を置く俳優もいるが)僕の場合は違いますね。親しくしてれば気兼ねがないから、むしろ強く叩けるし、振り回せる(笑)。
どうせなら気楽なほうがいですよ。アクションの段取りもいっしょに決められるし、疲れたら励まし合える。そういうことがうまくいったほうが、アクションもカッコよく見えます。
いずれにしても演技は現実ではなく、演技にすぎません。現実では、僕らは支え合い、刺激し合う仲間です」
(2009年「イルジメ[一枝梅]」でのインタビューより)
――なるほど、の言葉。親しくなってこそ、アクションも本気で挑めるのだ。
TEXT:高橋尚子(編集・ライター)
Edited:野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)