野球初心者が使うバットのおすすめは? 素材、長さ、価格も様々…専門店の店長が徹底解説

バットはどのように選べばよいのだろうか?

長さ2センチの違いでも大きく変わるスイングの感覚

わずか2センチの差で感覚は大きく変わる。子どもたちが少年野球を始める際に、保護者が頭を悩ませるのがバット選び。長さや重さ、素材など種類が多く、価格も幅広い。野球用品専門店「ベースマン」の店長が、初心者におすすめのバットや商品ごとの違いを詳しく説明してくれた。

せっかく野球を始めたのに、子どもたちが「つまらない」とやめてしまう大きな理由は2つある。1つは、グラブでボールが捕れないこと。もう1つは、バットにボールが当たらないことだ。うまく捕球できた時や打球を遠くまで飛ばせた時の喜びは野球の醍醐味だが、用具を扱う難しさが子どもたちを野球から遠ざける要因にもなっている。

バットは年齢や身長によって、適した長さが変わってくる。野球用品専門店「ベースマン」立川店の星徹弥店長は、野球を始める時期に多い小学3年生が初めてバットを買う場合、長さは74センチか76センチをすすめている。バットの長さは2センチ刻み。大差がないように感じるが、星店長は「靴のサイズが0.5センチ、1センチで全く違うように、子どもたちにとってバットの2センチは大きな差です」と説明する。

74センチ、76センチのバットの中でも重さが異なる。この長さのバットは、400グラム後半から500グラム前半が多い。バットは短く、軽い方が扱いやすくボールに当てやすい分、飛距離は出ない。同じ小学3年生でもバットに当てることを優先するのであれば、長さ74センチ、重さ400グラム後半。4年生までを見据える場合は、長さ76センチ、重さ500グラム前半が目安となる。ただ、長さや重さの感じ方は選手によって違いがある。星店長は「体感重量は異なるので、実際にバットを振って比べてみるのが最も大事」と力を込める。

素材もタイプも主に3種類、それぞれのメリットとデメリットは?

バットの素材は主に「金属」「カーボン」「ウレタン」の3種類で、それぞれにメリットがある。星店長によると、金属は値段が安く種類が豊富。店頭や通販サイトには1万円を切るバットがたくさん並ぶ。だが、飛距離が出にくい。

最も打球を遠くに飛ばせるのはウレタン。どんな素材のバットで打ってもゴムでできている軟式球は変形するが、ウレタンは変形を最小限にとどめられる。一方で打った感触を味わいにくいと指摘されたり、価格が高いのがデメリットに挙げられたりする。カーボンは価格も飛距離もウレタンに近い。ウレタンとの違いは、繊維が何層にもなっているので使えば使うほど飛距離が出にくくなる。

バットには「タイプ」が表示されている。主に「トップバランス」「ミドルバランス」「カウンターバランス」の3つ。トップバランスは重心がバットの先端にある。バットの遠心力を利用できるため、長距離打者用と言われている。ミドルバランスは重心がバットの中央にある。中距離打者向きで種類は一番多い。イメージ通りにバットを振れる感覚を持ちやすい。カウンターバランスは重心がバットの手元にあるため、バットを軽く感じる。

星店長は「トップバランスと表示されていても、メーカーによってはミドルバランスに近いバットもあります。力がない選手の中には先端が重いトップバランスのバットを振りやすく感じる人もいます」と説明する。バットに関する表示は目安。失敗しないバット選びは、子どもたちがスイングした感覚が重要になる。(間淳 / Jun Aida)

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