女子生徒1人が犠牲に 逗子斜面崩落から2年 法廷で責任所在問う

ブルーシートがかけられた事故現場の斜面=逗子市池子(2020年2月)

 2020年2月5日、神奈川県逗子市池子2丁目のマンション敷地内にある斜面が崩れ、土砂に巻き込まれて市内在住の県立高校3年の女子生徒=当時(18)=が死亡した事故から2年。生徒の命が奪われた事故の責任の所在は、裁判を通じて関係当事者に問われている。

 両親らはマンションの管理組合、区分所有者ら、管理会社とその従業員に対し、安全対策を怠って事故が起きたなどとし、約1億1800万円の損害が生じたとして損害賠償を求める訴訟を21年2月、横浜地裁に起こした。一方、区分所有者と管理組合らマンション側は同年4月、売り主の不動産会社と管理会社など4者について同地裁に提訴した。いずれの訴訟も被告側は請求棄却を求めている。

 斜面はマンション側所有の民有地で、11年には県の土砂災害警戒区域に指定された。事故前日には、マンション管理人が斜面の亀裂を発見していることが明らかになっている。県横須賀土木事務所の事故後の説明によると、崩落前日に同事務所と斜面調査の委託業者が管理会社から連絡を受けたという。だが、「調査が終わっていないなら見てもらいたいものがある」などと亀裂の存在には触れていなかった。亀裂は1階住居の庭の植え込みと、崩落した斜面との間にあった。

 事故は20年2月5日午前8時ごろに発生。逗子市池子2丁目のマンション敷地の斜面が崩れ、歩道を歩いていた生徒が約66トンの土砂に巻き込まれ死亡した。生徒の両親らは20年6月、区分所有者らや管理会社側を過失致死と業務上過失致死の容疑で神奈川県警に刑事告訴した。

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