メルセデスF1、新規則の導入と風洞使用時間の制限により『W13』の開発作業は「いっそう難しくなった」

 メルセデスは、2022年型マシン『W13』の設計への取り組みは、F1の新規則だけでなく、風洞での限られた時間の管理によっていっそう困難になったと述べている。

 昨年、F1は空力テストのスライド制ルールを導入した。チームによる風洞と計算流体力学(CFD)シミュレーションの利用時間を制限するものだ。各チームの風洞とCFDテストの割り当ては、前シーズン末のチャンピオンシップ順位を元にしたコースでのパフォーマンスに応じて決定される。

 2020年のF1コンストラクターズ選手権勝者であるメルセデスは、必然的にこのルールに影響を受けた。チームは風洞での開発時間を2021年と2022年のマシンの間で厳密に分けることを余儀なくされたのだ。

「冬の間の大きな課題は、風洞の使用時間が減ったことだ」とメルセデスの技術責任者マイク・エリオットは、チームのYouTubeチャンネルの動画のなかで説明した。

「そのため、昨年のマシンと今年のマシンのどちらにどれだけ時間を費やすべきか答えを出すのは、非常に難しいことだった」

「ファクトリー全体に影響が及んだ。設計作業については、ギヤボックスやシャシーなどは早めに設計を始める。特にギヤボックスはある期間で確定させる。そこをうまくやらなければならなかった」

2021年F1第19戦ブラジルGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

 制約やF1の新しいテクニカルレギュレーションがあったものの、メルセデスは2022年マシンの設計と製造へのアプローチを変えることはなかった。しかし製造についてはさらに困難な状況になったという。

「空力の具合とマシンの他の部分への影響について一旦把握し始めると、詳細な設計作業に入る。冬の間にその作業は膨大なものになっている」

「こうしたアプローチは我々が毎年とっているものと同じだ。作業はいっそう難しくなっている。ルール変更は、過去に見てきたものよりもはるかに大規模なものだからだ」

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