NPBオファーなく「ショックでした」 秋吉が明かすノンテンダーから独立L入りまでの胸中

福井ネクサスエレファンツへの入団が決まった秋吉亮【写真:町田利衣】

日本海オセアンリーグ「福井ネクサスエレファンツ」に入団

昨季限りで日本ハムを自由契約となり、独立リーグ・日本海オセアンリーグに加盟する「福井ネクサスエレファンツ」への入団が決まった秋吉亮投手が、Full-Countの単独インタビューに応じた。昨年11月、日本ハムから“ノンテンダーFA”となり保留者名簿を外れ、NPB球団のオファーを待ったが声は掛からなかった。独立L入りを決断するまでの揺れる胸中や、NPB復帰を目指す意気込みなどを語った。

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球春到来を告げる2月。盛り上がる春季キャンプとは対照的に、秋吉は母校・中央学院大のグラウンドで静かに汗を流していた。「このオフは当たり前のことが当たり前ではなくなって、今までいかに恵まれていたかを実感しました」。“無所属”のため1月から練習場所も、キャッチボール相手も、自ら探さないといけなかった。様々な人の助けに感謝し「そういうありがたみを感じられたことはプラスだったのかな」と吹っ切れたように笑った。

昨年11月16日、日本ハム・稲葉篤紀GMから来季の契約を提示せず、自由契約とする旨を伝えられた。10分弱の会談を終えた時には「前日に『スーツで来てください』と言われた時点で、薄々勘付いていました。だから『うわ、やっぱりきたか』というくらい」と動揺はそこまで大きくなかった。32歳とベテランの域に達しているとはいえ、ヤクルトと日本ハムの8年間で通算379試合に登板、71セーブ78ホールドを積み上げてきたプライドもあった。気持ちが大きく揺れ動いたのは、その後のことだった。

「正直言うと、最低年俸とか、金額は凄く安くなるだろうけど獲ってくれる球団はあるのではないかと思っていました。でも無くて……。ショックでしたね。12月8日にトライアウトが終わって『来るかな?』と思っても来ない、来ない。12月中旬くらいが一番辛く、焦っていた時期でした」

「NPBに戻って、再び活躍すること。そこを目指してやっていきたい」

12月14日には大田泰示がDeNA、22日には西川遥輝が楽天入りすることが発表された。自身と同じ“ノンテンダー”の2人の去就が先に決まったことには「彼らは必ず決まると思っていたので、良かったなと思っていました」と素直に祝福したが、自身の状況は変わらなかった。各球団が仕事納めとなり「違うステージで結果を出して、また見てもらうしかないんだなと覚悟を決めました」と当時の心境を明かした。

12月中旬頃から独立リーグ球団のオファーが届き始めていた。同じ1988年生まれの篠田朗樹球団社長から熱い誘いを受けたこと、NPB復帰を目指すことへの理解を示してくれていることなどから福井入りを決断。プロ入り前に結婚し、支え続けてくれる妻も「ここから這い上がっていけばいい」と背中を押してくれた。

子どもたちの存在も大きなモチベーションだ。5歳の次男はボールを投げたりバットを振ったりすることが大好きで「野球をやりたい」と興味を持ち始めているという。「センスがあるんですよ」と目尻を下げながら「僕がテレビに映ると『凄い』って喜ぶみたいなので、まだまだ投げているところを見せられるように頑張らないといけないですね」とパパの顔をのぞかせた。

昨季はキャリア最少の10試合登板に終わったが、体に不安はない。描く青写真は明確だ。「福井で結果を出して、今年中にNPBに戻れるように。1点も取られないくらいの気持ちで抑えないといけないし、いい状態をずっと保っていないといけない」。また新球団、新リーグで「若い選手に自分の経験を伝えることもしていきたい。福井を、日本海オセアンリーグを盛り上げたいという気持ちも持っています」と決意を込めた。

「まだ自分はできると思っている。自信はあります。というか、しっかりと自信を持ってやっていきたい。NPBに戻って、再び活躍すること。そこを目指していきたいです」

リーグ戦開幕は4月2日。激動のオフを経て、秋吉の新たな挑戦が始まる。(町田利衣 / Rie Machida)

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