ケン・ローチ監督の傑作「家族を想うとき」を上映! お寺シネマ第2弾

イギリスの巨匠、ケン・ローチ監督の「家族を想うとき」(2019年)を寺の本堂で上映するイベント「お寺シネマ vol.2」が、2月26日に北海道・札幌の麻生・覚王寺(札幌市北区麻生町5-2-1)で開催される。前回に続き、住職による映画を絡めた法話と、地域のこども食堂への寄付を計画している。上映は、午後2:00開演回と、午後5:00開演回で、各定員40人。料金は1600円。

SDGsに関連した傑作映画を、札幌の自主上映グループ・キノマドが厳選し、伝えるイベントの第2弾。今回も麻生・覚王寺(浄土真宗本願寺派)が会場。チケットの売り上げに応じて、地域でこども食堂や学習支援を展開する「NPO法人麻生キッチンりあん」への寄付額が増える仕組みを導入した。

「家族を想うとき」は、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立した男性・リッキーが主人公。個人事業主とは名ばかりで、理不尽なシステムによる過酷な労働条件に振り回されながら、家族のために働き続けるリッキー。そんな父を少しでも支えようと、互いを思いやる家族だったが、リッキーはあるトラブルに巻き込まれてしまう──。

日本でも日々取り上げられている労働問題と重なり、見る者の胸を激しく揺さぶる本作。主人公のリッキー役には、配管工として20年以上働いた経験を持つクリス・ヒッチェンが抜てきされるなど、オーディションを勝ち抜いた新鋭キャストによるリアルな演技も見どころだ。

ケン・ローチ監督は、「麦の穂をゆらす風」(06年)と「わたしは、ダニエル・ブレイク」(16年)で2度のカンヌ映画祭パルムドール(最高賞)を受賞。「わたしは、ダニエル・ブレイク」で引退宣言していたが、今なおイギリスや世界中で拡大する格差や貧困の現実を目の当たりにし、引退を撤回して「家族を想うとき」に取り組んだことでも話題となった。

カンヌ国際映画祭での会見で、ケン・ローチ監督は「新自由主義経済が持ち込まれてから、労働者を守る仕組みが崩壊した。“個人事業主”“フランチャイズ”という誘い文句で、労働者は『働いただけ儲けはすべて自分のものになる』という幻想を植えつけられる。その挙句働くことをやめられなくなり、家庭や健康といった個人的な基礎が侵されていく。仕事は家族を守るためのものなのに、現代では家族との時間を奪っているなんて、ばかげている」とコメント。「私たちがやらねばならないことは一つ。耐えられないことがあれば、変えること。今こそ変化の時だ」と世界中にメッセージを送った。

主催者は「第1回に引き続いてのケン・ローチ監督作品ですが、こちらもまた今あらためて見るべき作品です。監督83歳にして命を燃やして撮り上げた渾身(こんしん)の傑作、貴重なお寺での上映でぜひご覧ください」とPRしている。チケットの購入方法など、詳細はPass Market(https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/01m5a43dyfp11.html)をチェック。

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