コンビ組んだ投手たちが次々とプロへ 送り出してきた捕手が語る“共通点”とは?

日本通運の捕手・木南了【写真:篠崎有理枝】

日本通運の捕手・木南了が球を受けてきた投手たちは続々プロへ

日本ハムの生田目翼投手や、2021年のドラフト3位でヤクルトに入団した柴田大地投手ら、プロ選手を多く輩出している日本通運野球部。その名門チームで正捕手を務める木南了捕手は、帝京大時代には青柳晃洋投手(現阪神)、西村天裕投手(現日本ハム)とバッテリーを組み、社会人日本代表では田嶋大樹投手、福田周平内野手(ともに現オリックス)ら、のちにプロ入りした選手とプレーした。最高峰の舞台へと羽ばたく選手には、どんな特徴があるのか。マスク越しに見てきた“共通点”を語る。【篠崎有理枝】

プロ入りを果たし、なおかつ活躍している投手は、自分の長所を生かす投球スタイルを持ち、どんな相手でも引かずに自信を持って投げていると話す。

「みんなレベルは高いですが、特別に『これがすごい』というものがあるわけではないと思います。誰でも自信を持っているボールが必ずあるので、それを生かす投球ができるか。その球を『打者のここを攻める』という強い気持ちで投げられるピッチャーが多いと思います」

帝京大で1学年下だった青柳は、2021年シーズンに13勝を挙げて最多勝と最高勝率の2冠に輝いた。飛躍の年となったが、大学時代は西村がエースを務め、昨季のような活躍は想像できなかったという。

「青柳は3年生の時に肘の怪我をしてしまい、西村のほうが注目を浴びていました。それでも、強い球を投げていた。プロに入ってから、打者を差し込むストレートの球威も上がっているし、課題と言われていたクイックも速くなった。特徴のあるフォームもそうですが、自分で工夫して結果を出せるのはすごいと思います」

青柳は2015年のドラフト5位で入団。阪神という注目度の高い球団で下位指名から成長を遂げたが、大学時代も秘めた思いは強く、悔しさを力に変えることができる投手だったと振り返る。

「西村が先発でフル回転していたので、意識していた部分はあったと思います。『自分どうですか』とよく聞きに来たので、いろいろな話をしました。肘を怪我してからは、トレーナーともよく話をしていましたし『なにくそ』と思ってやっていたと思います」

オリ福田とは社会人日本代表で一緒にプレー「自分のスタイルを変えない強さ」

野手にも同じことが言える。2017年のアジア野球選手権で、社会人日本代表のチームメートとして戦った福田も、自分の長所を生かし、求められていることができる選手だという。

「自分の信じたものを貫いていかないと、167センチという小柄な身体で活躍できないと思います。周りにはホームランバッターがたくさんいる中で『自分はそうじゃない』と出塁率にフォーカスして活路を見出している。日本代表でも、どんな状況でもぶれなかった。緊迫した場面でもそれを力にして、自分のスタイルを変えない。そういう強さがありました」

それまで内野を守っていたが、2021年シーズンは中堅を志願。レギュラーを勝ち取り、25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。2017年の都市対抗では、所属していたNTT東日本を優勝に導き、最優秀選手賞にあたる橋戸賞を受賞しており、コンバートには驚いたという。

「社会人でナンバーワンショートになったのに外野に挑戦するというのは、なかなかできることではないと思います。自分の出場機会を求めて層の薄いところに行って結果を出す。チームの求めていることに答えられる。社会人の時から、野球エリートなのに誰が相手でもガッツを出して、泥臭い選手でした」

ヤクルトに入団した柴田は入社当時、直球は優れていたもののコントロールが荒れていたという。その後、制球を安定させるフォームを身に着け、プロの舞台を勝ち取った。武器である直球に更に磨きをかけ、プロで活躍することができるか。かつての女房役は、今後の成長を楽しみにしている。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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