<南風>学び方を学ぶ

 「南風」掲載後、友人や先輩から感想のメッセージをいただく。それを拝読し、私もさらに学びを深められる。人の捉え方はさまざまで、一つの事柄は、その人の経験や考え方で、いく通りもの学びにつながる。
 私の学ぶ姿勢は、前職のある出来事がきっかけに大きく変わった。入職3年目の頃、全国の事務局員研修会に参加する機会を得たが、その年は研修内容が前年と大きく異なり、残念であった。上司に報告し、主催者側に真意を確認した後の返答は「学ぶ側の学ぶスキルの問題」であった。私はその答えに、悔しさと恥ずかしさでいっぱいになった。
 その言葉の持つ深い意味を理解できたのは何年も後。「出会う人全てが何らかの点で私の師であり、私はその人からその点を学んでいると考えるのです」。ラルフ・ワルド・エマーソンの言葉だ(一部抜粋)。人は学ぶことで偉くなったような気になる。だが学びとは知らなかったことを知ることであり、自分が無知だったことに気付く機会である。
 大切なことは、その気付きを素直に受け止め、学び続ける謙虚な「学ぶ姿勢」ではないだろうか。素直な人は、学ぶことに謙虚であり、学ぶ姿勢を維持できる。何を学ぶか、誰から学ぶかではなく、どう学ぶかが重要であり、謙虚な姿勢を失わず学べば、目の前に起こる出来事、全てのことから気付きを受け取ることができる。読者が、投稿から気付きを得ることができるのは(掲載内容の良さだけでなく)、学ぶ姿勢が整っており、受け取る準備があるからではないだろうか。
 私が大切にしていることは「謙虚に貪欲に学ぶこと」である。どんなささいなことからも学びたい、知りたいという気持ちと、いったん素直に受け止め、気付きを得た後、精査し受け入れ、知識を深めて豊かな人生につなげていきたいという「学ぶ姿勢」の継続である。
(比嘉佳代、おきなわedu代表取締役)

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