F1の決勝スタートタイヤ規則が変更へ。予選トップ10ドライバーのQ2タイヤ使用義務は撤廃で合意

 2022年F1では、これまで予選Q3に進出した10人のドライバーたちに課されてきた義務が撤廃され、決勝スタートタイヤを自由に選べるようになる見通しだ。

 昨年までの競技レギュレーションでは、Q3に進んだドライバーたちは、Q2で自己ベストタイムを記録した際に履いていたタイヤを決勝スタートタイヤとして使用しなければならなかった。このシステムが導入された目的は、決勝中のオーバーテイクのチャンスを増やし、タイヤ戦略を分けることで状況に変化を生み出すことだった。

 しかし実際には、速さのあるチームはQ2をミディアムタイヤで通過することができ、彼らは上位グリッドから、理想的なタイヤ戦略で決勝をスタートできるという、二重のアドバンテージを手に入れていた。

 一方でQ3に下位で進んだ者たちは、Q3入りをぎりぎり逃したドライバーたちに比べて極めて不利な状況で戦わなければならない。グリッド6列目あたりのドライバーたちはハード寄りのフレッシュタイヤでスタートできるのに対し、グリッド4列目、5列目のドライバーたちは、ユーズドのソフトタイヤでレースを始めなければならないのだ。

2021年F1アブダビテスト マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

 こういった状況から、昨年までのシステムを見直すための議論がなされ、アドバンテージを失いたくないトップチームたちは変更に反対してきた。しかし、戦略諮問委員会(旧戦略ワーキンググループ)において投票が行われた結果、予選トップ10のドライバーたちがQ2で使用したタイヤで決勝をスタートしなければならないというルールは撤廃するという結論が出た。

 全員が決勝スタートタイヤを自由に選ぶことに合意がなされた一因は、2022年に新世代F1マシンが導入されることだろう。2021年型よりもオーバーテイクのチャンスが増え、バトルが活性化すると期待され、チーム間の勢力図が大きく変わる可能性があると考えられている。

 戦略諮問委員会での投票で可決された事項は、F1コミッションを経て、最終的には世界モータースポーツ評議会において承認されることで、正式に決定される。

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