琵琶湖岸のテレワークが好評 景色良し、子ども用テントやサウナも

琵琶湖上に設けた台の上で仕事をする事業者たち(大津市におの浜)

 琵琶湖岸をテレワークの場として活用する滋賀の経済団体の動きが相次いでいる。新型コロナウイルスが再拡大する中、大企業と比べ取り組みが進んでいない中小企業に社員の分散を進めてもらう狙い。湖畔の美しい風景を眺めながら仕事に打ち込めるとして、参加した事業者に好評だ。

 大津商工会議所は19日~30日に、緑地が広がる大津湖岸なぎさ公園プロムナード(大津市におの浜)で、テレワークの実証実験を会員企業向けに実施。琵琶湖を臨む緑地にガラス張りの簡易建物3棟を建て、室内には椅子やソファ約20席を設けた。近くのホテルの光回線を利用したインターネット環境や電源を完備し、暖房も備える。参加者たちは水鳥が泳ぐ湖岸の風景に囲まれて、少人数の会議や取引先とパソコンでのやりとりなどを行っている。

 社員3人で訪れた、同市に支所を置く建設関連会社社員の男性(40)は「景色が良く、設備も整っているので仕事に集中できる。同僚との打ち合わせが必要なので、家でのテレワークより便利」と笑顔を見せた。会場にはテラス席や、子どもが遊べるテント、休憩用の簡易サウナなども用意された。

 同商議所の谷口孝男参与(68)は「琵琶湖の美しい風景を眺めて仕事すれば、新しいアイデアが生まれるのでは。企業はテレワークに必要なデジタル化や無駄の省略を進め、ピンチをチャンスに変えてほしい」と話す。

 県産業支援プラザも昨年11月中旬、同公園の10メートル沖に浮かべた花火打ち上げ用の台船の上で、テレワーク体験会を開いた。住民団体による湖岸のイベントの一環で、カフェの営業も船上であった。県内の個人事業者ら13人がパソコンを持参し、「気分転換になった」「ここでしかできない体験」などと好評だった。

 体験会の後、大阪や兵庫など隣県の事業者からも、次回の開催を希望する声があったという。同プラザは、観光しながら仕事をする「ワーケーション」の需要も今後見込めるとし、創業支援課の舩越英之さん(51)は「公園は駅からのアクセスが良く、県外の都市部から来てもらえる立地環境がある。湖岸の新たな活性化策として、企画の動きが広がれば」と期待する。

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