〈月間・金正恩総書記の活動〉国防力強化措置を現地参観 2022年1月 / 党大会で示された5カ年計画の遂行状況を確認

朝鮮では5カ年計画遂行2年目となる2022年のぼう大な課題に着手した。金正恩総書記は1月、政治、経済、軍事など多分野にわたって精力的な活動を展開した。

極超音速ミサイル試射を参観

金正恩総書記は11日、国防科学院が行った極超音速ミサイルの試射を参観した。

音速の5倍にあたる「マッハ5」以上で飛ぶミサイルを意味する極超音速ミサイルは、現存する地対空ミサイルの迎撃をほぼ不可能とするため「ゲームチェンジャー」と呼ばれる。

金正恩総書記は国防科学院が行った極超音速ミサイルの試射を参観した(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

朝鮮において極超音速兵器開発は党第8回大会が示した国防力発展5カ年計画の中核5大課題のうち、最も重要な戦略的意義を持つと位置づけられている。朝鮮が極超音速ミサイル試射を公開したのは昨年9月28日、今年1月5日に次いで3回目となる。今回の試射は極超音速兵器システムの全般的な技術的特性を最終的に実証する目的で行われ、極超音速滑空飛行戦闘部の優れた機動能力が実証された。

総書記は試射を参観し、国の戦略的な軍事力を質量ともに持続的に強化し、軍の近代性向上にいっそう拍車をかけなければならないと強調した。

28日には朝鮮中央通信が、金正恩総書記が重要兵器システムを生産している軍需工場を現地指導したと伝えた。軍需工場への視察が公開されるのは極めて稀だ。

総書記は、同工場で最近実現した技術および生産工程の近代化状況と現行の生産実態を具体的に調べたうえで、武力の近代化と国の国防発展戦略の実現で同工場が担う位置と任務がたいへん重要であるとし、工場を国防工業の近代性を象徴するモデル工場に発展させていくための課題と方途を明らかにした。

重要兵器システム生産の軍需工場を現地指導する金正恩総書記(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

朝米対決の局面転換

朝鮮は、昨年末の朝鮮労働党中央委第8期第4回総会を経て、年明けから国防力強化措置を矢継ぎ早に講じている。1月だけでも、2度の極超音速ミサイル試射(5、11日)、鉄道機動ミサイル連隊の検閲射撃訓練(14日)、戦術誘導弾検収射撃試験(17日)、長距離巡航ミサイル試射(25日)、地対地戦術誘導弾試射(27日)、地対地中長距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」型の検収射撃試験(30日)を実施した。これらは党8回大会で示された国防発展5カ年計画に基づくもので、他国に脅威を与えることを目的としない。実際に総書記は昨年10月の国防発展展覧会で行った演説で、朝鮮の最先端兵器の開発が「誰かとの戦争を前提にしておらず、戦争そのものを防ぎ国権を守るために文字通りの戦争抑止力を強化している」と表明している。

だが、朝鮮のミサイル試射に対しバイデン政権は13日、昨年1月の就任後初めて対朝鮮独自制裁を発動。さらに20日には、非公開の会合で国連安保理決議に基づく追加制裁を画策したが中ロが反対し、安保理全体としての声明すら出すことができなかった。

このような中、1月19日、金正恩総書記の司会の下で行われた党中央委第8期第6回政治局会議では対米対応方向が討議された。

会議では、「米国の敵視政策と軍事的脅威が看過できない危険水域に至った」と判断を下し、「先決的に、主動的に講じた信頼構築措置を全面的に再考し、暫定的に中止してきたすべての活動を再稼働させる問題を議論する」とした。

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