ライトフライ級で因縁の再戦が実現 矢吹正道に寺地拳四朗が挑戦

記者会見後に写真撮影に応じる、WBCライトフライ級チャンピオンの矢吹正道(左)と同級1位で前王者の寺地拳四朗=1月24日、大阪市

 世界ボクシング評議会(WBC)ライトフライ級前チャンピオンの寺地拳四朗(BMB)がタイトル奪回を目指し3月19日、京都市体育館で同級王者の矢吹正道(緑)に挑戦することが発表された。

 両者は昨年9月に対戦。寺地が10回TKO負けを喫し、9度目の防衛に失敗した。その後、寺地陣営は負傷を巡る判断に不満を示し、日本ボクシングコミッション(JBC)に抗議。最終的にはWBCから再戦命令が届き、両陣営が合意した。

 そうした経緯もあり、寺地は「絶対に勝つ自信がある」と強気に語った。

 前回の試合は中盤以降、激しい打撃戦となった。寺地は矢吹の左右フックに苦しんだ末、9回に右目上が切れ、おびただしい出血。このダメージは大きく、10回にレフェリーストップがかかった。

 寺地陣営は「右目上が切れたのは相手に故意のバッティングがあったのではないか」という質問状を提出していた。

 王座転落後、寺地はしばらく去就を明らかにしていなかった。敗戦のショックは大きかった。一時は引退も考えたという。

 その中で「負けるとは思っていなかった。悔しかったが、周りから頑張ってほしいという激励をいただいた。次のストーリーを見てもらえたらうれしい」と前向きな心境に変わったという。

 寺地の父は元東洋太平洋ライトヘビー級王者。血筋を引き高校、大学ではアマチュアとして活躍した。

 卒業後、プロに転向。スピードのある連打で頭角を現し、2017年5月、世界初挑戦。小差の判定勝ちで王座を獲得した。

 防衛を重ねる度に安定度は増し、いつの間にか8度の防衛に成功。具志堅用高氏が持つ日本記録の世界13連続防衛を意識するほどになった。細かなテクニックに磨きがかかっていたのも事実だ。

 その夢は砕かれたが、新たな闘いに意欲を見せている。

 「自分のパンチが少なかった気はするが、判定の難しさも分かった。手数を増やし、ポイントを奪って、明白に勝ちたい」と必勝を誓った。

 受けて立つ形の矢吹も「相手の強さは分かっているが、次もしっかり勝って防衛につなげたい」と自信をのぞかせる。

 序盤から一歩も引かない打ち合いは必至だろう。お互いのプライドが正面からぶつかりそうだ。

 戦績は寺地が18勝(10KO)1敗、矢吹が13勝(12KO)3敗。ともに軽量級とは思えない高いKO率を誇っている。(津江章二) 

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