長崎県知事選 佐世保市長選の“前哨戦” 朝長氏が現職支援、宮島氏は新人を

(写真左から)集会で中村候補への支援を呼び掛ける朝長市長、街頭演説で大石候補への支持を訴える宮島県議=佐世保市内

 長崎県佐世保市では、知事選(20日投開票)が来年春にある市長選の“前哨戦”の様相を呈している。朝長則男市長(72)は現職の中村法道候補(71)を全面的に支援。これに対し新人の大石賢吾候補(39)をバックアップするのは元衆院議員の宮島大典県議(58)。市長選への出馬が取り沙汰される朝長、宮島両氏やその支援者らの思惑が交錯している。
 4日、市内の広場であった中村陣営の集会。真っ先にあいさつした朝長氏は、中村候補の3期12年の実績をたたえ、「知事の堅実さと積極的な政治姿勢を理解してほしい」と聴衆に訴えた。参加した自民党市議の1人は「言葉に迫力がある。まるで自分の選挙だ」と驚き交じりにつぶやいた。
 石木ダム建設やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致などで県と連携してきた佐世保市。朝長氏は「継続が重要」と強調する。関係者によると、朝長氏は中村候補が決心する前から、4選出馬を熱望。側近が中村陣営に加わり、後援会もビラ配布を手伝うなど積極的で「市長選を見据えた動き」とみる向きは少なくない。
 市長4期目の朝長氏は自身の進退について「全く決めていない」という。だが、ある支援者は先をこう読む。「県政の継続は市政の継続につながる。多選批判もある中、知事が4選を果たせば、市長が5選に挑むハードルが下がる」

 一方の宮島氏は5日、大石候補を連れて市中心部アーケードを駆け回った。まだ顔が売れていない新人を売り込み、街頭演説でも一緒に並んだ。「全国では若い知事が活躍している。長崎県にも若いリーダーを」ともり立てた。
 宮島氏は自民党から旧民主党などを渡り歩き、2019年県議選に無所属で当選。その際、後援会に「市長を目指したい」と伝えた。来年春に挑むかは「検討中」とするが、後援会幹部は「若い知事候補を熱心に支える姿勢を見せ、『佐世保もトップを刷新する時機が来た』というイメージを広げたい」と明かす。
 昨年秋の衆院選で宮島氏は、同市南部を含む長崎3区の谷川弥一自民党衆院議員(80)を応援した。今回の知事選は、水面下で自民党参院議員の金子原二郎農相(77)に接近し、連携を模索。自民関係者は「市長選で国会議員の支援を期待しているのではないか」とみる。

 朝長、宮島両氏が市長選出馬を決断するタイミングは、今年夏の参院選以降になる可能性が高い。それでも双方の支援者はこう口をそろえる。
 「知事選は佐世保市民の意識を探る格好の“世論調査”になる。いま必死に動く意味は大きい」

 知事選には新人の宮沢由彦候補(54)も立候補している。


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